と言っても、規則や保険業者について退屈な説明をしようというわけではないので、どうぞご安心を。オーストラリアの医療保険制度がどのようなものかを知り、自分の国の制度と比較していただけたらと思っています。
ヨーロッパとオーストラリアは二国間協定を結んでいるので、ヨーロッパ市民の観光客およびワーキングホリデービザ取得者は、入国から最長6か月間の医療保険が保証されます。これは「メディケア」と呼ばれる制度で、公立病院における治療や総合診療医(GP)による診察、医薬品の処方、レントゲンなどの検査といったサービスがカバーされます。
イタリアでは完全に無料の救急車の利用(日本はどうですか?)のほか、歯科治療や理学療法、眼科、一部の外科手術や診療所での治療など、ある特定の専門の医療サービスや診療科には適用されないと知ったときは驚きました。
メディケアを使うとなると、一旦医療費を全額支払い、後日メディケア事務所に連絡して払い戻しを受ける必要があります。
メディケアでカバーされていない部分を補うには、自費で払うこともできるし、補完的な保険に加入することも可能です。オーストラリア全土に数多く存在するヘルスセンターに行けばメディケアカードを取得することができます。
メディケア制度の財源の一部は、住民の給与の1.5%に課税されるメディケア税で賄われています。一定額以上の収入がある人はさらに+1%、逆に低収入者の課税は免除される、という仕組みです。
オーストラリアの永住権を持っていて、かつ雇用主がスポンサーになっている人(私もその一人です)は、雇用主が健康保険料の一部または全部を負担する場合もありますが、そうでなければ自分で支払う必要があります。
その場合の保険料は、ひと月あたり約100オーストラリアドルと高額になります。通常、入院・手術、救急車の利用の一部、それに総合診療医(GP)での診察が基本的に保険でカバーされます。
すでにお話したとおり、救急車の費用はメディケアではカバーされませんが、一部の民間保険(選んだ保険の補償内容によります)では、決められた回数内の救急車の利用にかかる費用を出してくれることもあります。実際、救急車を呼ぶ羽目になったがその費用が保険でカバーされていないとなると、かなり高額な請求書を受け取る羽目になります。電話をかけて来てもらうだけでも400オーストラリアドル以上するうえ、病院までの距離1㎞ごとに追加料金が加算されるのです。
いっそ、タクシーに乗った方がいいぐらいですね。
一般的な健診や血液などの検査は、最寄りの総合診療医で受けることができます。オーストラリアの緊急連絡番号は000で、こちらに電話すると警察や消防署、救急医療サービスにつながります。
通常は英語での対応となりますが、母国語で話せば外国人のための特別な翻訳サービスにつないでくれるという話を聞きました。要望に応じて、100以上の言語に対応した電話での通訳サービスを行っているようです。
シドニーでは、郵便番号かエリア名を入力すれば、一番近くにある病院のリストや救急病棟の待ち時間まで見られるウェブサイトがあります。これは素晴らしいですね!
幸いにも、私はまだ救急サービスを利用したことはありませんが、病院での経験から言えば、オーストラリアの医療サービスは効率的できちんと組織だって運営されていると感じます。