• 2024.02.13
  • 熱帯雨林発、オージー産紅茶はいかが?
シドニー・ティー・フェスティバルは、開催時期は様々ながら通常は年1回行われているイベントで、始まったのは確か2014年のことだったと思います。
紅茶は最初のイギリスからの入植者と一緒にオーストラリアに上陸しましたが、ここ何年かで紅茶の人気が上昇し、オーストラリアの人たちにとって生活の重要な一部となりつつあります。
オーストラリアっ子の間で英国王室への関心がますます高まっていることに関係してか、あるいは自らのルーツであるヨーロッパに再び絆を求めるオーストラリア人が多いため、もしくは旅行熱の上昇により、アジアがすぐそこの距離と呼べるほど身近になったためか、いずれにせよ紅茶はコーヒーに取って代わりつつあり、多くの人が午後の飲み物に選ぶようになりました。
紅茶のほうがよりヘルシーということもあるかも知れませんね。私個人は紅茶もコーヒーも大好きなので、どちらかを選ぶのは難しいですが…。

シドニー・ティー・フェスティバルには、マーケットセクションとワークショップセクションがあります。マーケットセクションが大部分を占め、一部がワークショップに利用されています。さながら天国にいるような気分で、どこに収納するべきか、いつ飲めばいいのかわからないほどたくさんのお茶を抱えて帰途に就いたのですが、とにかく私にとって心躍る体験でした。
いくつかのワークショップにも参加してみました。イタリアで日本の茶道を習ったことがあり、良いおさらいの機会となりました。また、自宅でのチャイの淹れ方も学んで、最近はもっぱらハマっています。チャイとは、紅茶とスパイスを合わせたインド特有の飲み物で、カルダモンと乾燥茶葉のコントラストから生まれるワイルドさをミルクが中和しています。
私は、このティー・フェスティバルの発想が好きです。おそらく若者世代にとっては古くさく、独自のアイデンティティがないと受け止められていて、見直される必要がある飲み物を、一般の人にもより身近に感じてもらうために特別に企画されたイベントだと思われるからです。しかし、オーストラリアでは、移民たちが荷物とともに持ち込んだ文化はこの国に大きな足跡を残していて、紅茶文化もそのひとつなのです。
今やシドニーでは、タピオカティーのショップや、ハーブティーやその他の紅茶のリストを延々とメニューに載せた店が至るところに存在します。
ティー・フェスティバルは、この広大な国の中で結束と差別化を図り、様々なお茶を人々に知らしめて楽しんでもらうことを目的としたイベントです。一杯のお茶を飲みながら、自らの伝統や出自をいったん忘れて、出会いと笑顔があふれる団結と議論の場を提供しているのです。

オーストラリアで紅茶が飲まれているというのは、ご存じのとおり新たな発見ではありません。英連邦国であるこの国の人々にとって、紅茶を飲むことは欠かせない習慣でした。オーストラリアが植民地化されて以来、紅茶は常に人々の側にあり、消費されてきたのですが、オーストラリアが茶葉の生産国でもあることはあまり知られていません。
デインツリー・ティーはオーストラリア産の紅茶で、クイーンズランド州のデインツリー国立公園という名の大きな熱帯雨林の一角で生産されています。
私も訪れたことがあるのですが、ここは世界最大かつ最古の巨大な熱帯雨林で、先史時代の遺物であるヒクイドリが現代もなお平和に暮らす唯一の場所です。ヒクイドリの餌となるコバナミフクラギの実は、ここでしか見つけられないのです。森の中を流れるデインツリー・リバーにはワニがはびこり、雨季ともなれば洪水になるような不安定な河川なので、対岸に渡る手段は常時運行している艀ぐらいしかありません。鬱蒼と茂った森の中を走る道も、狭くてカーブだらけです。その先にようやく見えたのが、デインツリー・ティーの茶畑でした!
茶畑をこの目で見たのは初めてで、大自然の中に数ヘクタールに渡って広がる緑と霧に包まれた茶畑はただただ素晴らしく、誰もが「茶畑」と聞いて思い描くような姿そのものでした。
もちろん、デインツリー・ティーも購入しました。この紅茶は、低価格なので質が最高というわけではなく、実際に特別なお茶でもないのですが、正真正銘のオーストラリア産です。
そう、「国産」という点が重要なのです!

特派員

  • アルベルト フェランド
  • 職業土木技師

みなさんこんにちは!私はイタリア出身ですが2012年からオーストラリアのシドニーで土木技師として働いています。
趣味は、海岸沿いの散歩、サーフィン、写真を撮ることです。
旅行が好きで、以前はブログを書いていたこともあります。
私はシドニーを拠点としており、アウトドア派でローカルイベントにも詳しいので、皆さんにシドニーの素晴らしさを知っていただければ光栄です。

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