• 2019.01.17
  • 高層ビルだけじゃない
ニューヨークといえば高層ビルぐらいしか連想できないかもしれませんが、実はビッグアップル(ニューヨークの愛称)には住民も観光客も同様にリラックスしたり、散歩したり、運動したり、暖かい時期には日光浴するための緑地があちこちにあります。
ニューヨークに初めてやって来る多くの観光客にとって、真っ先に思い浮かぶセントラルパークは、徒歩、自転車、馬車などさまざまな手段によって、何が何でも見て回りたい公園でしょう。
少なくとも私はそうでした。
でも、公園や庭園は他にもあって、たとえマンハッタンに位置していなくてもそれほど離れていませんし、うっとりするような景色で訪問者を迎えてくれます。ブルックリンの中心にあるプロスペクトパークの敷地内に設立されたブルックリン植物園もそんな場所のひとつです。
100年以上にわたり訪問者を受け入れてきたブルックリン植物園は、多種多様な花、草、樹木の香りや色彩に浸れるオアシスで、植物への好奇心を満たしたり、植物について学んだりすることも可能なはずです。常に穏やかな雰囲気に包まれていて、日本庭園とイタリア式庭園、バラ園と石庭を散策していると、いろんな国を旅しているような気分になります。
この植物園の一番すごいところは、さまざまなエリアや区画が互いに「融合している」ところで、中にはまるで本物の森林に足を踏み入れたかのような緑豊かな野性味のあるエリアもあって、まったく人の手の感じられない、自然による自発的な傑作にしか見えないような景観を作り上げています。これと同じくらい驚かされるもうひとつの特徴は、季節ごとにニュアンスを変える多様な区画で、暖かい時期には色鮮やかな花が咲き乱れ、秋には哀愁が漂います。
3月の終わりから4月の初めにかけての春先は、マグノリアプラザのモクレンが開花するのを眺める絶好の時期で、毎年4月の終わりにはここでニューヨークの日本人コミュニティによって桜まつりが開催されます。


暖かい春の日を満喫したければ広くオープンな場所に咲き誇る桜並木を探しましょう。日曜日になると、辺り一帯は年代や民族を問わず、お花見する人でにぎわいます。いくつもの遊歩道を歩いて行くと、まず東洋式の池のほとりにたどり着き、あらゆる花で埋め尽くされた小さな広場に突き当たります。
ニューヨークを離れるわけにはいかないけど、マンハッタンから脱出したくなったら、ここに来るのもひとつの手です。
園内には丘、橋が架けられた池、小島、滝があり、こうした風景の中に日本を思わせる建築的要素が散りばめられていて、赤い灯籠や鳥居、神社まであります。
多くの専門家がニューヨークで最も重要な自然観光地と評価するブルックリン植物園には、どの季節に行っても見頃の植物があります。


前世紀の初めにブルックリン大学によって設立されたこの植物園は、アメリカの多くの文化施設同様、半官半民で運営されていて、ニューヨーク市、個人の寄付、慈善団体によって支えられています。
1万種を超える多種多様な植物が植えられていて、季節によって異なる植物を楽しむことができるので、「庭園の中の庭園」とも呼ばれています。
盆栽ミュージアム、バラ園、園芸や植物の基礎を学べる子供専用の庭園、シェークスピア、この偉大な劇作家のソネットで描かれた植物を取りそろえたシェークスピアガーデンもあります。
なお、地元の在来植物のほかにも、芳香植物と薬用植物を組み合わせて幾何学的に配置したコーナーや、目の見えない人のために香りの強い、特徴的な手触りの植物を集めたフレグランスガーデンも設置されています。

特派員

  • クラウディア・ ディアス
  • 職業ニューヨーク大学教授

私は、ニューヨーク大学でスペイン文学と演劇の教授をしていますが、もともとはカリフォルニア出身です。余暇には長い時間散歩をするのが好きです。ニューヨークでは常になにか新しいものをあちこちで見つけることができるので、それが本当に大好きです。この街のお気に入りの季節は秋です。秋にはセントラル・パークの紅葉が素晴らしく、私の大好きなハロウィーンもあるからです。
私のブログを通してみなさんにニューヨーク市と、私の住むブルックリンに興味を持っていただきたいと思います。また、ここに住む人間の目から見たビッグアップルについての新たな視点を紹介したいと思います。

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