• 2019.03.22
  • 子供心あふれるニューヨーク
ニューヨークが眠らない街というのはよく知られています。年齢を問わず夢を見させ、夢中にさせています。それもそのはず、音楽からアートまで、娯楽から文化まで、ファッションからおもちゃまで、盛りだくさんの選択肢が用意されていますから。おもちゃと言えば、実際、昨年の11月に老舗のおもちゃ屋さん、FAOシュワルツが閉店から約3年ぶりにマンハッタンに再オープンしました。



FAOシュワルツはビッグアップル(ニューヨークシティの愛称)にある王道の玩具店で、数々のアメリカ映画にも登場しているシンボル的存在です。 アメリカ最大級の最も歴史ある大型玩具店のひとつで、マンハッタンの5番街にあった、かの有名な(唯一の)店舗が2015年7月に閉鎖されると知ったときは、ニューヨーカーの誰もが(子供に限らず)悲しい気持ちになりました。でも幸運なことに、永久的な閉店とはならず、昨年の終わりになんと再オープンを果たしました。



予想どおり、再オープンは熱烈に歓迎され話題を呼びました。再オープンをクリスマスの前月に予定したのは、もちろん偶然ではなく、クリスマス商戦のシーズンが始まる絶好のマーケティングタイミングに合わせてのことで、お店はクリスマスのおもちゃを買う場としてにぎわいました。
新しい旗艦店はロックフェラープラザのモール内にあるので、5番街の中心のウォルドーフ・アストリアホテル(ニューヨークのもうひとつのランドマーク。今は閉鎖され全面改装中ですが、およそ3年以内に再オープンする予定)の目の前だったもとの場所から5ブロック移動しただけです。
長年、事実上の観光名所となってきたFAOシュワルツでしたが、閉店の発表に踏み切ったのは経営コストやオンライン業者との競争激化によるものと言われています。
もとの場所は非常に高額だったとも報じられていましたが、なぜ3年もの長い間、閉店していたのかは誰にも分かりません。
FAOシュワルツは1862年の開店当初から、人々の評価の基準となる存在であり続けてきました。
創業150年にわたり、あらゆるお客さんを楽しませてきたのは疑う余地がありません。
約2万平方フィート(約1900m2)の新店舗に足を踏み入れると、まるでおもちゃの国のようです。単なるショッピングの場にとどまらない遊園地のような空間で、何も考えず夢中になれる瞬間へと、年齢を問わずみんな引き込まれていきます。なにしろ、実際におもちゃで遊んだり、おもちゃを試してみたりできるわけですからね。
店員はキャラクターや魔法使いに扮してデモンストレーションを盛り上げ、お客さんと交流しますし、1988年製作の映画『ビッグ』で、トム・ハンクスが鍵盤の上で踊るシーンに登場した有名な巨大ピアノは新店舗でも再現されています。歴史に残るこのシーンによって、FAOシュワルツは世界中で一躍有名となりました。
ロックフェラープラザでの再オープンは、新店舗を続々とオープンさせるという長期プランの第一歩にすぎず、ラガーディア空港への出店やアジアへの海外進出にも意欲的なようです。

もともとドイツ人移民のフレドリック・オーガスト・オットー・シュワルツ氏によって創業され(店名のFAOは名前の頭文字)、当初はToy Bazaarというシンプルな店名でボルティモアに店を構えていました。
しかし、短期間のうちに玩具業界の評価の基準となり、ボストンやフィラデルフィア、ニューヨークにも出店を果たしました。中でも一番有名となったのがニューヨーク店で、その後、全米で唯一営業を続ける店舗となったため、おもちゃファンにとって真のメッカとなりました。
もとの場所も、アップルストア、ティファニー、そしてセントラルパークの南門のすぐそばという戦略的に優れた立地でしたが、新店舗もまた抜群のロケーションです。セントラルパークの反対側のアッパーウェストサイドからも眺められる場所にあります。



特派員

  • クラウディア・ ディアス
  • 職業ニューヨーク大学教授

私は、ニューヨーク大学でスペイン文学と演劇の教授をしていますが、もともとはカリフォルニア出身です。余暇には長い時間散歩をするのが好きです。ニューヨークでは常になにか新しいものをあちこちで見つけることができるので、それが本当に大好きです。この街のお気に入りの季節は秋です。秋にはセントラル・パークの紅葉が素晴らしく、私の大好きなハロウィーンもあるからです。
私のブログを通してみなさんにニューヨーク市と、私の住むブルックリンに興味を持っていただきたいと思います。また、ここに住む人間の目から見たビッグアップルについての新たな視点を紹介したいと思います。

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