5月上旬にキルギスを訪れた人は、この国が特別な雰囲気に包まれているのを感じたかもしれません。ようやく暖かくなってきた気候の良い時期であることに加え、5月5日はキルギスの憲法記念日なのです。
憲法のための祝日があるなんて、と驚く方もいるかもしれませんが、この祝日はキルギスでは単に古い文書のための日ではありません。自由と新たな始まり、国の誇りに関係する日です。そして、お祝いをする絶好の口実でもあるのです。
憲法の日の成り立ち
ソビエト連邦の解体にともなう独立から2年後の1993年、キルギスは自国の法律を整備する時が来たと判断し、ソ連時代の法制度から脱却すべく、民主主義や人権、大統領の任期期限(これを設定したのは幸いでした)などを定めたキルギス独自の憲法を制定しました。
最初の憲法が完璧なものだったかどうかは、キルギスが制定以来何度も憲法を改正してきたことからも想像できるでしょう(革命も何度か起きています)。それでも、5月5日は主権国家への最初の大きな一歩を踏み出した記念すべき日なのです。
憲法の日のお祝い
憲法の日はノウルーズ(Nowruz)のようにワイルドでもないし、キルギスの「国母」と呼ばれるクルマンジャン・ダトカ(Kurmanjan Datka)の誕生日の祝祭のようにたくさんのご馳走を食べるわけでもありませんが(プラフを食べすぎてお腹がはちきれそうになったことを思い出します)、様々な催しが行われます。
●演説や公式イベント
政治家たちが演説を行います(耳を傾ける人もいますが、ほとんどの人はただ後のお楽しみを待っています)。
●道路でのお祭り
伝統音楽の演奏やダンスバトルが行われるほか、運が良ければヤギの死骸を使ったポロ「コクボル(Kok-Boru)」の試技を見ることもできます。
●家族団らん
学校も仕事も休みになるので、多くの人が公園に行ってピクニックを楽しんだり、山まで足を延ばしたりします。
私のお気に入りは、子どもたちが小さなスーツやドレスに身を包んで「正義」や「自由」をテーマにした詩を披露する学校でのイベントです。可愛いらしいし、感銘を受けます。
憲法の日の意義(休日以上の意味)
率直に言って、キルギスは政治的に浮き沈みを繰り返してきました。しかし、5月5日はキルギス国民が自治のために懸命に戦ったことを思い出させてくれる日です。この祝日は憲法だけでなく、自分たちの生き方を他者に指示されることを拒む、混とんとしていながらも熱心で強固なキルギスの精神を讃える日なのです。
もし5月5日ごろにキルギスを訪れる機会があったら、ぜひこの祝祭に参加してみてください! 旗を振ったり、サムサ(Samsa)を食べたり、はたまた憲法の一節を読んでみたり(または、読んだふりをしたり)するのもいいかもしれませんね。楽しみ方を問わず、祝う価値がある日であることは間違いありません。
- 2025.05.22
- なぜ、5月5日はキルギスで特別な日なのか