• 2022.05.12
  • カンタベリーの街歩き
カンタベリーについてはいい話ばかり聞いていたので、休みを利用して現地に行って自分の目で確かめてきました。
カンタベリーはロンドン中心部から約90km離れた、イングランド南部のケント州にある街です。
ガールフレンドと一緒にビクトリア駅発のナショナル・エクスプレスという高速バスに乗り、2時間ほどで現地に着きました。
こうした長距離移動に使用されるコーチは、イギリス国内を移動する手段として効率が良く料金も比較的安くて、特に自分で運転したくないときは電車よりお薦めです。


カンタベリー

バスステーションを出て最初に行ったのは、お店やバー、パブが立ち並ぶ大通りのパレード・ストリート。ロンドンにもあるチェーン店ばかりで、目新しいものは何もなく、第一印象はそんなに良くありませんでした。
少し人も多すぎるし、観光地化しすぎていて、私たちの好みには合わないようです。
そのあと路地に入り、荘厳な大聖堂の入り口の一つに当たるクライストチャーチ・ゲートの前に出ました。
この聖堂は、大司教トマス・ベケットが殺害され、その後世界中のキリスト教徒の巡礼地となったため有名になったスポットです。
大司教は、教会の権利や特権をめぐって当時の国王ヘンリー2世と対立し、王の信奉者によってこの聖堂で暗殺されました。
かの有名な『カンタベリー物語』を執筆したチョーサーは、この巡礼の旅に着想を得たそうです。
入場待ちの列が長かったので、私たちは近くの通りを散策することにし、聖堂は外から写真を数枚撮るだけでおしまいにしました。
そして偶然、見るからに奇妙な本屋の前を通りかかりました。窓が歪んでいて、さらに扉はもっと歪んでいます。
建物の一階の部分が全体的に右に傾いていますが、わざとそのような造りになっているそうで、とってもとっても面白いです。
17世紀に木造で建てられたサー・ジョン・ボーイズ・ハウス(ジョン・ボーイズ卿邸)で、別名「Crooked House」(歪んだ家)として知られています。
邸内の暖炉を改造したら家全体が横にずれてしまい、明らかに歪んだ外観になったようです。
このズレを直そうとして結果的に建物全体がさらに傾いてしまったのですが、現在は建物内部から鉄骨で補強しているそうです。
さて、私たちは街の中心部に戻り、マーロウ劇場を見学しました。シェークスピアの作品やミュージカル、現代的なパフォーマンスが上演されている近代的な劇場です。
劇場前の小広場には、巨大な仮面の彫像と、カンタベリーにこよなく愛されるコメディアン、デイヴ・リーのブロンズ像が置かれており、とても素敵です。
運河にかかる橋からは絵画のように美しい眺めが楽しめ、3月でしたが景色は秋のような色合いに染まっていました。
ローマ帝国が築き14世紀に再建された城壁など、カンタベリーには歴史的建造物が多く残っています。
メインストリートの両端にはイーストゲート・タワーとウェストゲート・タワーが聳え立っています。私たちはウェストゲート・タワーを通り過ぎて運河沿いに南へ歩き、地肌がむき出しの公園を散策しました。
公園は寒くて風も吹いていましたが誰も気に留めないのか、子どもたちも雨の降る中遊び続けていました。
この後、私たちはノーマン城もしくはノーマン城の遺跡にたどり着きました。
お城は千年以上前に建てられ、州の留置場として使用されていましたが、19世紀初めにガス会社が買い取ってからは長らく倉庫センターとして利用され、その間に最上階は破壊されてしまったそうです。
現在は遺跡とされ、その歴史を伝える説明パネルがたくさん掲示されています。


カンタベリー大聖堂

カンタベリーにはフランチャイズチェーン店があまりに多くてガッカリもしましたが、運河や歴史的なチューダー様式の家々、そしてイングランド最古の最も有名なキリスト教建築の一つでイングランド国教会のトップを務めるカンタベリー大司教の座を構える美しいカンタベリー大聖堂があるからこの街に魅了されたとも言えるでしょう。

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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