• 2022.12.13
  • イーストエンドが新たな街に
今回ご紹介するイーストエンド(East End)は、ロンドンで最も多様な文化が共存している地区です。
イーストエンドとはロンドンの東部を意味し、かつてはロンドンでも指折りの悪名高いエリアとして知られていました。
ここ200年の間にロンドン中心地区に発展してきた上品で広大なウェストエンド(West End)とは対照的に、イーストエンドは昔と変わらず貧困層が暮らす犯罪率の高いエリアです。秩序のない都市空間が特徴的で、まるで都心はずれにある巨大な郊外地のようにも見えます。
けれども時代と共に事情は変わり、このエリアが時代の流行の波を追いかけ再開発を続けてきた甲斐あって、今や若者の間ではロンドンで最もクールな地区の一つと言われています。イーストエンドにあるホワイトチャペル(Whitechapel)やスピタルフィールズ(Spitalfields)、べスナル・グリーン(Bethnal Green)、ハックニー(Hackney)といった地区には、アートギャラリーやさまざまな国の屋台料理の店、デザイナー・ショップ、バーやクラブが立ち並びます。
このほか、注目したい点として、2012年にはオリンピックの開催地となったため、地区の近代化が進み一時的ではなく永久的にきれいになったことも挙げておきたいと思います。

ロンドンではガイドつき、ガイドなしの両方でウォーキングツアーが数多く開催されています。最も人気のあるツアーの一つに、切り裂きジャックとその犠牲者にまつわる話を解説するツアーがあり、スピタルフィールズからホワイトチャペルまで、切り裂きジャックの足跡を辿ります。
とても面白くて少々不気味なツアーですが、ガイドが紹介するジャックの殺人にまつわる当時の事実やさまざまなエピソードを聞きながら、イースト・ロンドンの路地をあちこち巡ります。連続殺人事件の一連の出来事が再現され、ベールに包まれたままの謎がよみがえります。
この種のツアーは通常無料なのですが、ツアー終了時にガイドは仕事に対するお礼として参加者からチップをもらいます(但し強制ではなく、額も決まっていません)。
また、イーストエンドは文化や芸術の刺激の「中心地」でもあり、街を歩けば、グラフィティや壁画にすぐに出会えます。
ロンドンではストリートアートは芸術を表す真の形とされ、ショーディッチやブリック・レーンなどの地区には壁から建物に至るまで自由なアート表現が残っており、サブカルチャー的な性格の強い作品になっています。
そのため、この地区では屋外のミュージアムともいえる街中の数々の作品を見る、自分だけのツアーが楽しめます。まずはショーディッチ・ハイストリート駅を出てショーディッチ・ハイストリート沿いに残る作品を見て、続いてリヴィングトン・ストリートやグレート・イースタン・ストリートで作品を楽しみ、好奇心がてら裏通りを探索してみるのもいいかもしれません。
いつも新しいミューラルが描かれるブリック・レーンの壁は、さまざまな色彩にあふれ、また意外なスポットにポスターや小さな彫刻といった他のアート作品がありますから、目を凝らしてよく探してみてください。
ショーディッチ地区には何でも揃うマーケット、オールド・スピタルフィールズ・マーケットがあります。リバプール・ストリートからは目と鼻の先です。
屋根つきのマーケットで(雨の日のお出かけにも最高!)、各国の料理を売る屋台や、工芸品やビンテージの品を扱う店、衣料店や家庭用品全般を扱うショップが立ち並び、バーや飲食店もたくさんあります。


イースト・ロンドンの中心、イーストエンド

このほか、イーストエンドに関するものでは、BBCが放映する『イーストエンダーズ』(Eastenders)というソープオペラもあり、コックニーと呼ばれるロンドンの方言を話すロンドン市民の多くはこの地区に住んでいると言われています。
実のところは、数年前にジョーディッチを始めとするイーストエンドの地価が上昇し、この地区に住む最も創造性豊かな人々が近隣のダルストンに転居せざるを得なかったらしく、これによりダルストンはロンドンで最もナイトライフを楽しめる地区の一つに変貌しました。アートギャラリーがあり、何と言ってもジャズクラブがあるので、私にとってはお気に入りのエリアです。

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 年齢子(ねずみ)
  • 性別
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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