• 2023.05.29
  • 新英国王の戴冠式
5月6日(土)、王位継承順位1位となってから数十年を経て、遂に英国王チャールズ三世が戴冠します。
母である女王エリザベス二世の逝去に伴い、2022年9月8日にすでに国王に即位していますが、これは非公式なものであり、8か月の服喪期間を経て綿密な準備が整ったのち、君主として正式に王冠を受ける戴冠式が行われます。
式典が開かれるのはウェストミンスター寺院です。まず宣誓を行い、塗油の儀式を経て、地球儀を模した宝珠などのレガリアが手渡されたのち王冠が授けられます。
伝統にのっとり、カンタベリー大主教が儀式を執り行います。

チャールズ皇太子はアーミン(オコジョ)の毛皮を着用し、王冠を2つ順にかぶります。1つは大英帝国王冠(宝石をちりばめた王冠でダイヤ1個の価値が4億ポンド(約680億円相当))、もう1つは英国の戴冠宝器で最も重要とされる、聖エドワード王冠です。
通常、どちらの王冠も他の宝物とともにロンドン塔に収蔵されていますが、現在は戴冠式のためにすでに式場に運び込まれています。


ロンドン塔:戴冠宝器の写真撮影は禁止だが鑑賞は可能


なお、この日はカミラ皇太子妃も王妃の冠を授けられます。
式典の前には国王のパレードがあり、終了後は戴冠式パレードが行われ王室一家は一般市民が待ち受けるなかを宮殿へ向かいます。
最後に国王夫妻が宮殿のバルコニーから国民に手を振り、戴冠式が終了します。

祝賀行事は5月7日(日)まで続くそうで、ウィンザー城では大規模なコンサートが企画されており、一般にも公開されます。また、各地でビッグランチも開かれます。
8日(月)には、「ビッグ・ヘルプ・アウト」(Big Help Out)と呼ばれる、ボランティア活動への積極的な参加を奨励するイベントも実施される予定です。
戴冠式を記念して、今年の5月8日(月)は英国全体で祝日となりました。パブやクラブ、バーでは、式典前日の金曜日と土曜日は特別に営業時間の2時間延長が許可され、ストリート・パーティやさまざまな奉仕活動が予定されています。

式典は伝統に根ざしつつ、現代の君主の果たすべき役割と将来へのビジョンも反映して、エリザベス二世のときに比べつつましいかたちで行われます。
承認(recognition)から始まり、宣誓(oath)、塗油(anointing)、叙位(investiture)、戴冠と忠誠(coronation and homage)の儀式へと続きます。
英国の首相、議会の代表者、世界各国の首脳や王族が来賓として招かれています。
ヘンリー王子は、憶測が数週間ほど飛び交うなか、5月6日の父の戴冠式に自身は出席しメーガン妃は子どもたちとカリフォルニアに残ることを明らかにしました。
サセックス公爵夫妻であるヘンリー夫妻が2020年に王室離脱を決めて以来、英国王室では緊張状態が続いています。
このほか、式典には各国の政治指導者や国際機関の代表も出席します。式の模様はテレビやソーシャルメディアを通じて世界中に中継され、数百万にのぼる人々が視聴すると予想されています。
国王チャールズ三世の戴冠式は、1952年から逝去まで69年にわたって君主を務めた女王エリザベス二世の長年の功績を心に刻み、敬意を表する機会にもなるでしょう。エリザベス二世は在位中、英国と英連邦にとって安定と継続の象徴であり続け、その奉仕と献身の精神は息子が王位を継いだ後も称えられることでしょう。
近年、英国の政府と王室は緊張状態やさまざまな課題に直面していますが、今回のチャールズ三世の戴冠は新たな時代の始まりを意味し、また同時に英国社会および英連邦において君主の役割が今後も果たされることを表しています。
国王夫妻は以前から環境問題や社会問題に熱心に取り組んでおり、戴冠式を経た今、その立場を活用して取り組みをさらに進めていくものと期待されています。

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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