• 2023.06.27
  • 王室の一品
英国王チャールズ3世とカミラ王妃は、戴冠式を記念した「ビッグランチ」向けのメニューにコロネーション・キッシュ(戴冠式キッシュ)を選びました。
レシピは王室の専属シェフであるマーク・フラナガン氏が考案し、公開されたレシピをもとに英国各地の路上で開かれた「ビッグランチ」で振る舞われました。
誰でも簡単に作れるレシピで、ショートクラストのサクサクしたパイ生地に、ホウレンソウやソラマメ、新鮮なエストラゴン(ハーブの一種)を使った風味豊かで繊細な味わいのフィリングがたっぷり入ったおいしいパイができあがります。
ピクニックにもビュッフェにもぴったりのキッシュで、グリーンサラダやポテトなどを添えて、温かくても冷たくても楽しめる逸品です。
私も先週、食べてみましたが、一口目でとりこになりました。軽くて、サクサクして、とってもおいしいんです。
自宅でもキッシュはよく作りますが、このレシピはまだ試したことがありませんでした。
オリジナルのレシピでは新鮮なエストラゴンを使いますが、なければ挽きたてのコショウと新鮮なバジルやタイムの葉を数枚振りかければ代用できます。
また、チーズも使います。英国を代表するチーズと言えばチェダーですが、他のセミハードタイプのチーズでもおいしいと思います。


キッシュの一例

今回この料理が選ばれたことについては、物議を醸しました。
国王夫妻が料理を選び、料理長のフラナガン氏が、チャールズ3世が特に好む卵とチーズの2つの食材に着目してレシピを作ったようです。
さらに、同氏は王妃が菜園で野菜作りに情熱を注いでいることに敬意を表して、ソラマメとホウレンソウを選びました(宮殿の庭園の一画を王妃が手入れしています)。
二人は大のキッシュ好きらしく、これまでにも何度か公式の場でこの種のフランスのパイを楽しんでいます。
お気に入りは、スコットランド産サーモンを使ったキッシュだとか。
しかし、なぜこの料理が論議を呼んだのでしょう。
何よりもまず、「キッシュ」という名前自体がフランスの料理としてよく知られているので英国の祝典にはふさわしいとは思われず、愛国心の強い人たちには歓迎されませんでした。
もっと伝統的なパイのほうがよかったのでは?

私が見つけたレシピをご紹介します。
(1) 生地
薄力粉120g、塩ひとつまみ、バター(冷蔵)、ラード、牛乳大さじ2
*もしくは、私は常用していますが、市販のフィロ(小麦粉を薄くのばし何段にも重ねたパイ皮生地)でも作れます。
(2) フィリング
牛乳120ml、生クリーム175ml、卵2個、エストラゴン大さじ1、塩、こしょう、チェダーチーズをおろしたもの100g、ゆでたホウレンソウ(細かく刻んだもの)160g、ゆでたソラマメ50g

チャールズ3世が選んだキッシュはまさに現代にふさわしい一品です。ベジタリアン仕様の料理なので環境にやさしく、低コストで作れるため経済的危機に苦しむ人々への配慮もうかがえます。
同様に、女王エリザベス2世の戴冠式に作られたコロネーション・チキンは、帝国の衰退期における英国の姿を反映していたと言われています。
カレー風味の鶏肉料理で、世界各地のコモンウェルスの人々にも合うように王室のレシピにスパイスを加えて考案されました。チャールズ3世の戴冠式ではこうした植民地的な意味合いは望ましくないと思われたため、代わりに庶民的と言える料理が選ばれました。ただ、残念ながら女王のチキンほどの美しさはありませんでした。
女王が戴冠した当時はまだソーシャルメディアやオンラインのメディアがなく、レシピの情報などを広める手段が限られていましたが、1956年に出版されたレシピ本には作り方や盛り付け方が詳しく書かれていたため、コロネーション・チキンのレシピは英国人の間で浸透していきました。
コロネーション・キッシュもコロネーション・チキンも、どちらも冷やして食べられるという特徴があり、作りおきに適した料理です。

特派員

  • ジャンフランコ・ ベロッリ
  • 職業ブロガー/ミュージシャン

私がロンドンに引っ越してきたのは2年以上も前ですが、ロンドンの外国人居住者向けのニュースレターで、この大都市での体験や新しく引っ越してきた外国人向けのアドバイスを紹介するようになったのは昨年からです。ロンドンはとてもダイナミックな街で、だれもが楽しめるものがたくさんありますが、迷うことなく満喫するためには地元の人の目線を参考にすることが大切です。みなさんにロンドンの隠れた魅力をお伝えするガイドになりたいと思っています。

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