メキシコ原産の花はとても多く、私も住み始めてからこの花もメキシコ原産だったのかと驚くことが多々ありました。メキシコ原産の花はサボテンのようにメキシコならではのものや、国花であるダリア、日本の秋の風物詩でもあるコスモス、サルビア、プルメリア、テキーラの原料になるリュウゼツラン、死者の日の重要な花であるマリーゴールドやクリスマスフラワーのポインセチアなど日本人にも馴染み深い花がたくさんあります。
メキシコシティのメインストリートであるレフォルマ通りには死者の日の頃はマリーゴールドが、そしてその後はポインセチアが植えられます。長い大通りを鮮やかな花が彩り木々の緑とのコントラストも綺麗でついつい目を奪われてしまいます。この時期はメキシコ人も観光客も大勢の人がこの大通りで写真を撮る光景をよく目にします。
メキシコ原産の花の中でも特にこの2つの花は街中で見かけるので印象的です。
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レフォルマ通りのマリーゴールド
マリーゴールドはメキシコではセンパスチル(Cempasuchil)と呼ばれます。マリーゴールドは太陽を表す花です。そして聖母マリアの黄金の花であり、死者の花でもあります。特に死者の日には欠かすことができない花で、家庭やレストラン、店先、そして祭壇などに飾られます。言い伝えではこの明るい色と強い香りが、死者を死の世界から迷わず導いてくれると言われています。
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死者の日の街角
この記事を書いているのはクリスマスまであと数日、ポインセチアが一番の見頃となっている時期です。実はポインセチアもメキシコでは別の名前で呼ばれています。その名前はノーチェ ブエナ(Noche Buena)聖夜という意味のクリスマスにぴったりな名前です。
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レフォルマ通りのポインセチア
ポインセチアはメキシコの銀の街タスコが起源地と言われているのですが、17世紀フランシスコ会修道士たちが降誕祭の時にキリストの小屋をインディオが清純の象徴としていたこの花で飾ることを考えつき、そして19世紀のメキシコに駐在した米国大使ジョエル・ロバート・ポインセット氏がタスコを旅した際に気に入りアメリカに送り、更に諸外国にも紹介したのだそうです。そのため現在広く親しまれているポインセチアの名前は、このポインセット氏の名前に由来しています。
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スーパーでもたくさんのポインセチアが売られている
元々は熱帯の植物でネサルコヨトル王の時代に熱帯以外の気候にも適応するよう観賞用に改良され、今では品種改良が進みピンク色や白色も流通しています。
今までは何も考えずクリスマスといえばポインセチアという認識でしたが、その背景にはストーリーがあって、どの花もその時期に飾られる意味などを知るととても感慨深いものがあるなと感じました。