2020年3月下旬頃から始まったコロナウイルスのパンデミックもすでに1年以上が経過しました。2021年4月下旬のメキシコは世界の多くの国と同じく未だこのパンデミックと戦っています。現在のメキシコの状況はというと、4月28日の新たな感染者数は3818人で1日平均人数のピークだった1月20日の17%になるということです。夫の知り合いの医療従事者の方も最近はかなり病院にも余裕が出き、きちんと家に帰って休むことができると話していたようで、大分落ち着いて来ていると考えてもいいのかなと思っています。ただ感染者数が減少しているのは良いことなのですが、一か月前には新型ウイルス死者数を再計算した結果60%も増加したというニュースがありました。この見直しで死者数は32万1000人とアメリカに次いで世界で2番目に犠牲者が多いことになってしまいました。しかしアメリカの人口は3億2700万人、メキシコは1億2800万人と少ないため犠牲者の多さが気になります。メキシコでは検査不足で実際の人数より低く報告されているのではという指摘や、各州で集中治療の為の病床不足もあり自宅で亡くなった人も多いとされています。
4月24日のメキシコの新型ウイルスによる危険度信号情報はメキシコシティを含む6州が橙色、20州が黄色、6州が緑色でした。赤色は無いもののメキシコシティはまだ赤色の次の橙色、幼稚園や学校が再開するには緑色になってからが理想なのですが、状況によっては黄色でも再開する予定のようです。この1年以上、幼稚園から大学まで全ての学校はオンライン授業が続いていますし、各企業も在宅ワークが多く、中にはこのパンデミックが終息しても退職するまで在宅ワークとなった企業もあるようで、そういった企業で働く人のなかにはメキシコシティから別の州へ移住した人もいるようです。私の知人にも移住した人がいるのですが、移住先として人気なのはやはり治安が良く暮らしやすい所、日本での知名度は恐らく低いですがユカタン州のメリダはメキシコで最も治安が良く美しい街ということで人気のようです。
メキシコのコロナウイルス感染対策はまずはもちろんマスクの着用、手洗い、消毒です。カフェやレストランはその時の状況でテイクアウトのみの時もありましたが、現在はテラス席、または人数を制限して店舗内での飲食も可能になっています。スーパーやショッピングモール等も入り口と出口が分けられ、入り口で検温と消毒をして入店が定着しました。今も店舗によっては家族につき1人しか入店できない場合もあります。また昨年11月18日からはQRコードを使った入店記録データシステムも導入され、入店時にQRコードを読み込み自分の携帯電話番号を登録することが推奨されています。メキシコシティの観光地の多くは閉鎖中だったり、人が集まるプラザ等は入れないようになっていたりもします。また日本とメキシコシティを直行便で結ぶANAは通常通り週7便で運航していますが、アエロメヒコ航空は6月末までの運休を発表しています。
公園は閉鎖しているところもありますが、ほとんどは以前と同じように利用できます。ただ休日は人が多すぎてソーシャルディスタンスを保ちにくい状況だったり、マスクをしていない人、更には大道芸を観ている人々等がマスク無しで大声で騒いでいたりもするのが現状です。メキシコのロペスオブラドール大統領は記者会見や視察の際にマスクを着用していませんでした。今年1月24日にコロナウイルス感染を公表したのですが、幸運にも軽症で済んだ為か今後もマスクは着用しないそうです。また大統領はパンデミックの深刻さを過小評価したことや、ワクチン接種の遅れ、長期間の休業を余儀なくされたショッピングモールやデパート等に対して何も支援せず各企業で対応するよう要請したこと等も批判されています。
ワクチンに関しては12月24日に医療関係者への接種が始まり、5月第一週目には50~59歳の方に接種を開始すると発表がありました。ただ副反応等以外にも、メキシコの場合はどこの国のワクチンが接種されるのか分からないこともあり、私も接種できるようになった時に受けるかどうかはまだ決めかねています。そして信じられないのですが、ワクチン接種の際に接種したと見せかけて実際には接種せず看護師がワクチンを盗んだり、若い人が老人に扮して接種したりということも起こっていました。まだ様々な問題はありますが感染者数は減少しているようですし、出来る限り早く元の生活が戻ってくることを願って、引き続き感染しないよう注意していきたいと思います。
- 2021.05.24
- コロナウイルスによるパンデミックから1年経ったメキシコ