ビタミンTとはタコス等のメキシコ伝統料理のこと。料理名がTから始まるのでビタミンTと呼ばれます。通常ビタミンというと野菜や果物から接種して健康を維持するための栄養素ですが、メキシコのビタミンTはそうではありません。ビタミンTの栄養素は太ることなんです。
モンテレイのカフェで提供されたタコス
主なビタミンTの料理はタコス、トルティージャ(タコスに使われる皮)、タマレス(とうもろこし粉で作ったちまきのようなもの)、トルタ(メキシコのサンドイッチ)、トスターダス(トルティージャを油で揚げたもの)、トトポス(同じくトルティージャを油であげたチップスで、ほとんどは三角形)
どれもメキシコ人の食卓には欠かせないものばかり。モンテレイではほぼ見かけないのですが、メキシコシティでは道路沿いにタコスやトルタの屋台が並び、昼食時には多くの人で賑わっているのがいつもの光景です。とても美味しいのですが、カロリーが高く食べ過ぎには注意が必要。例えばポソレ等のスープを注文してもトトポスがついてきたりするのですが、ポソレは健康的でもトトポスを食べてしまうと意味がないと言われています。この料理の中で特にカロリーが高いのがタマレス。とうもろこし粉にラードを加えバナナの葉などで包んで蒸したちまきのような料理です。メキシコでは屋台で売られ朝食として食べられることが多いです。
こうしたビタミンTの料理を食べる頻度は社会的格差も影響しています。こういった料理は比較的安価で、屋台だと更に安いです。メキシコの伝統料理なので習慣もありますが、経済的に余裕のある人々は健康や体型も考えて頻繁には食べず、野菜たっぷりのサラダやフレッシュフルーツジュース等を食べるようにしている人も多く、健康志向から日本食も人気です。ただ健康的であればあるほど値段も高くなり、格差の大きいメキシコでは多くの人が安価でカロリーを接種できる物を食べるしかないのが現実です。
ビタミンTという言葉があるように、メキシコは世界一の肥満大国です。コカ・コーラ消費量は世界第1位だそうで、食事の時も水ではなくコカ・コーラ等の炭酸飲料を飲む人が多いです。それもまず安価だからということがあり、また水は買わなければ飲めないことや食育はほとんど行われていないことが理由です。日本のように家庭でも学校でも食育が重要視され、更に水道水も飲むことができレストランでも無料で清潔な飲料水が提供され格差も小さいということが当たり前ではないと思い知らされます。
近年メキシコでは大人だけでなく子供の肥満も深刻なことを重く受け止め、砂糖含有飲料や高カロリー食品に対し税を課したり、パッケージに可愛らしい動物やキャラクターを使用しない、塩分・糖分やカロリーが高い食品には特別な表示ラベルを貼る等の対策をしています。
コカ・コーラには砂糖過多、高カロリーに加え、甘味料とカフェインも入っているため子供に与えることを推奨しないというラベルが貼ってある
調味料に貼られた食品表示ラベル
菓子類にも沢山の注意を促す食品表示ラベルが貼られている
学校でもスナック菓子等の販売禁止があったりするようですが、結局はほとんどの学校で普通に販売されているのが現状のようです。一部、富裕層等の経済的に余裕がある家庭の子が通う私立学校では親も気を付けている割合が高くなることもあり、菓子類の販売を制限したり禁止したりしているようです。そんな中オアハカ州では未成年者に砂糖含有飲料やスナック菓子等の販売が禁止になっているとか。他の州でもオアハカ州を見本にそういった法律が広まっているようですが、結局は家で食べられるので子供だけでは買えないというルールでどこまで効果があるのか疑問ではあります。けれど、色々な対策を試して少しずつでも国民に肥満に対して危機意識を持たせたり、毎日の食事に気を付けることが当たり前になっていくといいなと思います。