• 2023.01.11
  • メキシコの教育格差と図書館事情
メキシコにも公立図書館や学校の図書室がありますが、私の感想として日本のように子供から大人まで誰でも利用でき賑わっているという感じではなく、特別に本好きな人や学生等、一部の人が利用しているにとどまっていると感じます。
その理由は暗い、立地、本の数や種類、清潔さ、治安等様々ですが、メキシコの社会格差も大きな要因だろうと思います。

日本ではほとんどの場合、各地域に公立図書館があり恐らく誰もが利用したことがあると思います。大阪では移動図書館がある自治体もあり、私も子供の頃、そして私自身が子供をもってからも利用していた思い出があります。この少子化の時代に比較的子供が多い地域だったのか、公立図書館が少し遠いということで最寄駅前に子供用の図書館分館があり、更に静かにしなくていい図書館ということで大変お世話になっていました。学校も公立でも私立でも図書室があるため、学校を選ぶ際にこの学校に通って本に沢山触れる機会があるだろうかなんて考える人はいないでしょう。

以前、メキシコシティのヴァスコンセロス図書館について紹介しましたが、立派な建物にも関わらず人は少ないように思いました。そして純粋に図書館を利用しに来ている人もいますが、私のように観光目的の人も多く、子供用の本が並べられている場所は人気がありませんでした。私は家族で訪れていたので子供に絵本を楽しませてあげることも目的の一つでしたが、照明も暗く掃除も行き届いていない印象で、大きな図書館なのに本も少なく結局すぐにその場を去ってしまいました。
思えば知り合いのメキシコ人で図書館に子供と本を借りに行くというような会話を今まで一度も聞いたことがありません。もちろん図書館を利用している人はいるのでしょうが日本と比べると一般的ではないのかもしれません。 

裕福な家庭の子は図書館を利用しなくても本を買ってもらえ、学校も私立で図書室がある場合が多いですが、そうではない場合は本が高価なため家庭で本を買うことは難しく、公立の学校では図書室も充実していないようです。各地域の図書館はというと、比較的裕福な人が多い地区は図書館の蔵書も多く綺麗なようですが、せっかく図書館があっても蔵書も少なくほとんど利用者がいないところもたくさんあるのだそうです。
本当に格差とは厄介なものだと思わせられますが、モンテレイでは少し前から興味深い取り組みが行われています。


こういった読まなくなった本を置いておく場所が公園等に設置され、読みたい本があれば持って帰っていいというもの。持ち帰る際は自分が読まなくなった本を代わりに置いていくのがルールです。鍵はもちろんかかっていないので盗難というか全部持って行ってしまうということはないのか気になりますが、いつも数冊は置かれていて上手く活用されているようです。
それからこちらは私と家族のお気に入りの場所。図書館ではなく本屋さんなのですが、椅子がたくさん置かれていて何時間でも本を読んでいていい本屋さんです。小さくて幼児から中学生くらいまでの本屋さんですが居心地が良く時々訪れています。


ハロウィンの時期に読み聞かせのイベントがあったのですが、1時間半で3冊の本を読むという子供たちには少々長い時間でした。それでも幼稚園くらいの子も1時間半集中して聞いていて楽しんでいたのが印象的でした。


こうしたイベントや取り組みはあれど、興味を持っていなければ存在にも気づかないし、本を読むことの大切さや面白さを知らなければあまり意味がないかもしれません。日本では当たり前で考えもしませんでしたが、やはり政府や各自治体、学校が経済的格差に関わらず誰もが本に親しめるように整備していってほしいと思います。

特派員

  • パドラ リボド 裕美
  • 職業主婦

メキシコ北東部のヌエボ・レオン州モンテレイで夫と娘の3人暮らし。夫の仕事で来墨し、スペイン語はできないながらもママ友もでき、毎日を気ままに楽しんでいます。陽気で魅力的なメキシコのことをたくさん知ってもらいたいです!

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