私はフランス在住のイブ・ラリュン と申します。ナレッジ・キャピタルで5ヶ月間インターンを経験し、現在はナレッジ・ワールド・ネットワークのレポーターを務めています。そのナレッジ・キャピタルのウェブサイトを通して、みなさんに私の国をご紹介できることをとてもうれしく思います。最初の記事では、私の故郷であるディジョンをご紹介します。
ディジョン ディジョンはかつてブルゴーニュ公国だったブルゴーニュの首府で、美食で有名です。ワイン、マスタード、ジンジャーブレッド、「クレーム・ド・カシス」(リキュール)などは世界中に知られています。私はこの街のメイン広場のひとつである「レピュブリック広場」の近くに住んでいます。この広場は、新しい路面電車(トラム)を迎えるために数年前にリフォームされました。ディジョンのトラムは2012年に開通し、環境に優しい静かな輸送手段として推進されました。このような公共輸送を推進することで、ディジョンの市長(フランソワ・レブサメン氏 )はディジョンをフランス最初のエコ都市にすることを目指しています。この目標を達成するには、トラムを効率的に機能させるだけでなく、汚染の原因である車の交通量を削減する必要があったため、ディジョンではいくつかの場所で改修工事が行われました。それには前述のレピュブリック広場のほか、市内で最も混雑していたルー・ドゥ・ラ・リベルテ(自由通り)も含まれます。
改修後のルー・ドゥ・ラ・リベルテ。このエリアは歩行者専用ゾーンになりました。 街の中心部近くの旧市街地区を通ると、このような古い家を見ることができます。
これらの家は15 世紀に建てられたもので、「木骨造」と呼ばれるこの街独特の建築様式です。なかなか素敵な家でしょう。私には、これらの家が街に独特の雰囲気を与えているように思えます。建築様式は何世紀にもわたって維持されていますが、これらの家は安全上の理由で定期的に改修されています。旧市街の隣には、ノートルダム・ド・ディジョン教会があります。この13 世紀の教会は、ガーゴイルと、数ある街のシンボルの中でも最も有名なディジョンのフクロウで知られています。ディジョンのフクロウのすぐ下にある穴に人差し指を入れると、願いが叶うと言われています。でも、気をつけてください。フクロウの隣の小さな竜の彫刻の前を歩くと、竜に願いを食べられてしまいます。
ディジョンのメイン広場に向かう前に、ぜひ美術館に立ち寄ってみてください。入場無料で、ブルゴーニュの2人の公爵の墓を見ることができます。ブルゴーニュ公国はフランス史の中で非常に重要な位置を占めています。9 世紀から15 世紀、ブルゴーニュ公爵の勢力はフランスの王に匹敵するほどでした。フランスの最も豊かな地域の1つだったブルゴーニュは、オランダの一部に領地を拡大するほど裕福で権力を持っていたのです。博物館では、最初のブルゴーニュ公爵であるフィリップ・ル・アルディ(文字通り「大胆公」)、その息子のジャン・サン・プール(文字通り「無怖公」)、そして、その妻であるマルグリット・ド・バヴィエールの墓を見ることができます。墓の下には嘆き悲しむ司祭、修道僧、騎士をかたどり雪花石膏でできた74の小さな彫像があります。これらの彫像は「ディジョンの嘆く男たち(Mourners of Dijon) 」と呼ばれ、公爵の死に対する人々の嘆きと悲しみを表すために彫られました。芸術作品として世界中で知られ、ニューヨークのメトロポリタン美術館で展示されたこともあります。
- ジャン・サン・プールとマルグリット・ド・バヴィエール
嘆く男たちここまでの短い説明からもわかるように、ディジョンは独特の歴史的、文化的背景に彩られた街です。住民は街の文化遺産を保護することを強く望んでいますが、ディジョンは未来に向かう街でもあります。日本人と同じように、私たちディジョンの住民はいつも伝統と革新の間、過去と未来の間で生きているのです。