- 2015.10.16
- 大切な伝統行事「ヴァンダンジュ」とフランスワイン
今回は、フランス語で「ヴァンダンジュ(Vendange)」と呼ばれる、ワイン用ブドウの収穫期についてお話ししたいと思います。これはフランスのワイン生産者にとって、とても象徴的な時期になります。ブドウの収穫は古代から続く伝統で、現在は7月末から9月末まで行われており、ワイン生産者にとって、1年のうちで最も重要な時期です。 多くのワイン生産者は、ブドウ畑でブドウの収穫を手伝う人を雇います。雇われるのは主に地元の若者や学生ですが、最近では世界各地からくる外国人の雇用も増えています。この作業はフランス独特の文化を学んだり、新しい友達を作るチャンスにもなるため、外国人にとっては魅力的です。ただし、土地の所有者によっては、地元の人を雇えないなどの特別な事情がない限りは外国人を採用しないこともあります。「ヴァンダンジュ」の契約は1か月を超えることはありませんが、複数のブドウ畑を渡り歩く人もいます。ブドウ畑の作業は主に次の2つに分かれます。–剪定鋏を使ってブドウを収穫する「収穫係」(または「切り取り係」)。–背中に大きな籐やプラスチックのかごを背負ってブドウの房を回収する「運搬係」。 運搬係は重さ15キロから30キロほどもあるブドウの箱を運びます。 収穫係の時給は平均9.61ユーロ(1292円)です。運搬係は肉体的によりきつい作業を行うため、時給は9.95ユーロ(1338円)です。作業者たちは1週間に平均35時間から39時間の収穫作業を行います。 収穫係と運搬係 作業者たちは、ブドウの収穫という独特かつおめでたい仕事を通してチームワークを学んだり、肉体の限界に挑戦したり、新しい人びとに出会うことができます。「ヴァンダンジュ」のために雇われて、初めて季節労働を経験する人が大半です。土地の所有者によりますが、作業者には宿泊場所が提供されます。通常、食事も出されますし、収穫が終わると土地所有者が催すパーティに招待されます。運がよければ、作業のお礼にと、ワインを1本プレゼントしてくれるかもしれません!高品質のワイン(手作業で収穫)も標準的なワイン(機械で収穫)もスーパーマーケットで手に入りますが、特別なワインやアペラシオンワインを購入したければ、ワインセラーを訪れて、直接生産者から購入しなければなりません。ワインのネット通販も増えています。より幅広い製品にアクセスでき、自宅まで直接配達されるので、オンラインショッピングは消費者にとって明らかな利点があります。 また、高価なワインを買う場合でも、他の消費者のコメントを見て、銘柄や一流生産者の名前、「ミレジメ」などからより簡単に選び出すことができます。パトリアッシュ社のセラーに並ぶワイン樽(ブルゴーニュ、ボーヌ) スーパーマーケットのワイン 「ミレジメ」(ヴィンテージ)はブドウが収穫された期間を指す言葉です。特に重要な年のワインについては、数年単位や数十年単位で使われることもあります。たとえば、1969年はブルゴーニュできわめて良質の赤ワインが生産された年として知られています。善し悪しを決めるにはまだ早すぎますが、天候によると、いまのところ2015年もよい年になりそうです。いくつかの専門ウェブサイトでは、それぞれの地方で最高のヴィンテージのリストを見ることができます。フランスで最も有名なワインの産地はブルゴーニュとボルドーです。これら2つの地方は、最高のワインの産地の称号をめぐって古くから競争してきました。あえて比べるなら、最高のお好み焼きを競い合う大阪と広島に似ているかもしれませんね!ブルゴーニュで最も有名なワイン生産者、クロ・ヴージョ城