• 2015.08.14
  • イタリアでのバールの楽しみ方
イタリアのバールには座って休憩するだけのカフェにはない、独自の世界があります。それはカフェであり、ティールームであり、ラウンジバーであり、なにより、声を掛けたり掛けられたりする場所なのです。 イタリア人なら誰でも自分のお気に入りのバールを選び、いったん選んだら他の新しいカフェに行くことはほとんどありません。バリスタと友達になったから、あるいは単に家や職場から近いという理由で1軒のバールに忠実に通います。

 
   

Photo-1

   
           
  • 写真:作業中のイタリア人のバリスタ
  •            
 
     

Photo-2

   
           
  • 写真:バールの仲間たち
  •            
   


                      アメリカや他の国のカフェでは1日中同じメニューが提供されますが、イタリアのバールは時間帯によって雰囲気もメニューも変わります。時間帯は早朝、ランチタイム、午後、そのあとアペリティーボという大体午後6時から8時までの時間に分かれます。常連たちはお気に入りの時間帯を選んでバールを訪れるので、同じバールでも時間によって客層がまったく異なります。

Photo-3
写真: イタリアで一番人気のモヒート(カクテル)

                                                                          早朝のバールは、仕事前に気合を入れるためにモーニングコーヒーを飲みに来る労働者で賑わいます。これは、家で朝食を摂らずに出勤する人の多いイタリア人にとっては毎日の儀式のようなもので、たいていはバールのカウンターで立ったままブリオッシュや、カスタードやジャムが入ったクロワッサンをさっと食べて、濃いエスプレッソコーヒー飲み、その間にバリスタとスポーツや天気について話したり、バーに置いてある新聞を読んだりします。

ランチタイムは雰囲気ががらっと変わります。テーブルはレストランのように並べられ、座って食事ができるようになり、パスタ、サラダ、本日のオススメなどのメニューがバールの外の黒板に書き込まれます。

午後4時頃バールを訪れると、上品な年配の女性やベビーカーを押す母親たちがお茶を飲みながら近所の噂話をしたり、10代のグループが夏はグラニータというシャーベットを食べたり、冬にはホットチョコレートを飲んだりしています。

夕方6時から8時まで、バールはアペリティーボで活気づきます。 イタリア人にとってアペリティーボは、飲みながら友人と語り合う1日の中でも大切な時間です。アペリティーボが最初に広まったのは1920年代のミラノでした。この時から人々は地元のバールに集まって仕事終わりにお酒や軽食を楽しむようになったのです。

アペリティーボは、ラテン語で「開く」を意味する「aperire(アペリーレ)」という言葉に由来し、アペタイザーのように食欲を刺激するために夕食前に摂ります。この時間帯、イタリアのバールでは飲み物を頼むと、さまざまな軽食をのせたトレイや、ビュッフェスタイルの前菜が無料で提供されます。

アペリティーボの典型的な飲み物は、地域によって異なりますが、リキュールの「アペロール」や「カンパリ」を混ぜてたお酒です。ラムとミントを混ぜたモヒートはイタリアで最も一般的ですが、いまは流行のカクテルにもなっています。

     

Photo-4

   
           
  • 写真:トレイスタイルのアペリティーボ
  •            
     

Photo-5

   
           
  • 写真:アペリティーボの軽食盛り合わせ
  •            
   


             イタリアのバールは最近、アペリティーボの時間帯に個性や贅沢さを競うようになり、DJが音楽をかけたり、テーマを決めたイベントやコンテストを開催することもあります。コンテストではベストハイヒール賞やベストドレッサー賞、おもしろTシャツ賞など、ユニークな賞が贈られます。イタリアのアペリティーボは仕事のことを忘れて、食欲を刺激し、新旧の友人たちと近況などを語り合う大切な時間です。

 
Photo-6
                                     写真:ビュッフェスタイルのアペリティーボ


                                                                              

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

パトリツィア・ マルゲリータの記事一覧を見る

最新記事

リポーター

最新記事

PAGE TOP