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  • 2015.10.30
  • おしゃれ散歩 イタリアのストルシオ
イタリアはファッション先進国だけあって、イタリア人はファッションや流行に敏感で、どんなときでもおしゃれに気を配ります。パーティであろうと職場であろうと、エレガントで洗練された服を好んで着ます。また、外見もアートのひとつと考えているので、ちょっとした散歩やスーパーに行くときでさえファッションに細心の注意を払います。 

イタリア人は他人が着ている服を見るのも好きですが、自分が着ている服も見て欲しいと思っています。それは週末、街に出ればわかります。

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歩行者に「占領」されたイタリアの道路


毎週土曜日の午後、イタリアの都市部に住む人たちは「ストルシオ(struscio)」のために街に繰り出します。ストルシオとは、他の歩行者に自分のファッションセンスを認めてもらうために、「コルソ・イタリア(Corso Italia )」(イタリア通り)と呼ばれる街の中心にある歩行者エリアを自分なりに最高のおしゃれをして歩くことを意味します。

ゆっくりとしたペースでそぞろ歩きながら、ウィンドウショッピングをしたり、エスプレッソをさっと飲むために地元のカフェに立ち寄ることもあります。ストルシオはイタリア人にとって重要な、非公式のソーシャルイベントです。

ストルシオは本来「こすること」を意味します。車の通行を遮断した歩行者専用道路では、往路を行く人と復路を行く人がそれぞれ正反対の方向に向かって歩いていますが、すれ違うときにお互いの「肘がこすれる」ことに由来します。

毎週土曜日の午後、人びとは街の中心に集まり、イタリア通りを完全に占領して友だちとおしゃべりしたり、新しい友だちを見つけたりして何時間も気ままに過ごします。ほとんど全員が知り合いという小さな街では、散歩の途中で立ち止まっておしゃべりしたり、友達と鉢合わせしたりしますが、ストルシオは友だちの輪を広げるのにも役立ちます。

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日没後も終わらないことのある「ストルシオ」


郊外に住む人でも、わざわざバスや電車、あるいは車でやってきて、道行く人をながめたり、人の流れに身を任せて何時間も過ごします。 「ストルシオ」で、デザイナーズジーンズや買ったばかりの流行のジャケットを披露したいのです。若者にとっては、同世代同士で集まって意見や考えを交換するいい機会になります。シニア世代も歩道に並べられたオープンカフェのイスに座って通行人を観察し、その服装や髪型を批評して「ストルシオ」に参加します。

通行人を観察することはあらゆる世代にとって、次のシーズンの新しいトレンドを探るのに役立ちます。帰属意識が強く、他人の持っているものを欲しがるイタリア人にとって、流行のおしゃれをすることは重要です。他の文化に比べて、イタリアでは洋服がステータスシンボルになることが多く、特定のブランドの服を身に付けていれば簡単に社会で居場所を見つけて、自分の性格や習慣、好みなどを事細かに説明する相手を見つけることができます。そのため、イタリアではファッションは無言のコミュニケーションになっています。

012_151030_3 歩道に並ぶ地元のカフェのテーブル
012_151030_4 散策に最適なイタリアの街路

その昔、ストルシオは若い男女が家族の監視の下で会うために行われていました。現在では自由になり、ティーンエイジャーは親に監視されずに歩き回ったり、スクーターを乗り回したりしています。

この「儀式」としてのお散歩デートは実に19世紀までさかのぼります。当時はイースター前の数週間は馬や馬車に乗ることが禁止されていました。この聖週間には教会を徒歩で巡回する儀式が行われ、観衆は大通りを歩いて回らなければなりませんでした。この儀式に参加する観衆の多さを考えると、当然歩くペースは遅くなり、最後には他人の体をこするように進むこともありました。若者は親に新しい服を買ってもらえるので、特にこの聖週間を楽しみにしていましたが、この時代には奇抜な服や派手な服は好まれなかったので、当時のストルシオには現在のように非公式のファッションショーの役割はありませんでした。



特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが自らの意思で「多文化人」となり、5ヶ国語が話せます。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界人だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで58カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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