• 2018.06.15
  • イタリアでベジタリアン・ライフ
世界的に有名なスコットランド人シェフのゴードン・ラムゼイが、自身のレストラン初となるビーガン(肉・魚の他、卵・チーズ・ミルクなども摂らない厳格な菜食主義者)向けのピッツァの画像をSNSにアップしたからには、菜食主義やビーガニズムの人気の高まりは、もはや公然の事実と言ってもいいでしょう。
この流れはイタリアでも大変な勢いで加速していて、毎日のようにビーガン、ベジタリアン向けのレストランや「ファストフード」店が新規オープンする一方、伝統的なスタイルのレストランでもベジタリアンのためのメニューを増やしたりしています。


イタリア名物、ビーガン・スシ!

私が先日読んだ新聞には、過去5年間でイタリア国内のビーガンとベジタリアンの人口が増加したという調査報告が載っていました。この数字は順調に伸び続けていて、学校に通う子どもの食事にも、ビーガンやベジタリアン用のメニューが選べるようにしてほしいという保護者の声が上がっているほどです。
統計によれば、食生活に関する質問に対し、調査対象となったイタリア人の約6%がベジタリアン、約3%がビーガンであると回答しています。
21世紀に入ってから、栄養学の領域には多くの変化がありました。このことは、菜食主義やビーガニズムのような食にまつわる哲学と切っても切り離せません。この二つのムーブメントが提唱するのは、主として、あるいはもっぱら、動物に由来しない資源に基づいたライフスタイルを取り入れようということです。
動物性の原料を使わない工業製品(大豆ステーキ、豆腐バーガー、グルテンミートとルーピン豆の冷製スライスなど)の選択肢が広がっただけでなく、マスコミがこの話題を取り上げる回数の多さ、ビーガンフレンドリーあるいはベジタリアンフレンドリーなレストランがたくさんオープンしたこともあって、現在180万人ほどのイタリア人が、肉や動物性の食品抜きの食生活を実践していると言われます。
最近のイタリアには、ビーガン向けの「ホットドッグ」や「バーガー」が手軽に食べられるビーガン用「ファストフード」のチェーン店もあれば、テーブルでスタッフのサービスを受けながら、手の込んだビーガン料理を楽しめる高級なビーガンレストランも存在します。
イタリアにある多くのピザハウスではビーガン用のクラスト(生地)があったり、豆乳の「チーズ」や大豆の「ペパロニ」などのビーガン用トッピングが選べたりする一方、ビーガン向けの「スペイン風チョリソー」やビーガン版メキシコ風「チリビーンズ」、さらにはビーガン「スシ」まで揃えた飲食店まであるのだから、まさに驚きですね!!


ビーガンフードの屋台

ベジタリアンやビーガンを実践しているのは、自分自身の快適さ、健康に対する効用、環境保護や生き物に対する関心の強さから、この食生活を選択している人がほとんどです。他にも、人生哲学を深めるためや、より良いものを食べるために食生活を変えたという人もいれば、単なる好奇心だったり、流行りものだからいうノリで菜食主義やビーガニズムを試してみる人もいます。きっかけが何であれ、食べ物の選択肢が広がったことは素晴らしいし、私たちの体にとってもこの地球にとっても、健康に良い効果をもたらすようなチョイスが用意されているのは正しいことだと思うのです。


創造的でバリエーションも豊かなビーガンフード




つい最近、大豆や米、アーモンドなど植物成分でできた「乳様飲料」に対して「ミルク」という言葉を使うことが禁止されました。容器にもこの用語を入れられなくなるので、生産者はその表示をただの「飲料」としなければなりません。おそらくは肉の代用品にも同様のことが起こり、「バーガー」「ミートソース」「ソーセージ」「ホットドッグ」などの表現は使うことができなくなるでしょう。実際に、欧州連合司法裁判所の決定に従って欧州議会がこれらの名称の使用禁止を採択した理由は、ここに挙げた用語は認知度も高く消費者の関心を集めやすいが、代替原料で作られた、それらに近い特徴を持つ製品であることを伝える意図を超え、実際問題として消費者の誤解を招きかねない、というものでした。


大豆と野菜で作られたビーガン「バーガー」

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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