• 2018.06.27
  • 夏のウェディングシーズン、いよいよ開幕!
結婚式、それは人生の大きな節目です。その日を境に、誰かの夫や妻となり、二人で新しい家庭を築き始めるのですから。
伝統という点で言えば、イタリアのウェディングは伝統的な要素に事欠きません。とくに結婚式に対しては、列席者を唸らせるぐらい盛大なものにしようと情熱を燃やし、自費で足りない分は借金までこしらえてこの日に備えるカップルもいるほどです。
結婚にまつわる伝統がとても根強く残るイタリアでは、今もなお、一部の女性は子供の時から自分の結婚式を夢見ていて、その日のために準備を始めたりするのです。
結婚式はとても重要なセレモニーで、数日にわたって続くお祝い事も多く、婚礼にまつわる行事はすべて祝福ムードでいっぱいです。


教会の宗教的な結婚式

イタリアでは、結婚式の件数はここ数年でわずかに減少しました。人々の宗教離れが進み、結婚しないで同居するカップルが増えていることでこの傾向は定着しつつありますが、そんな中で結婚という選択をする人たちとってみれば、やはり結婚式は一大事なのです。
自分の宗教を信じている人、家族の期待を裏切らないよう伝統を守りたい人、せっかくの機会に大切な人たちを招いて祝宴を挙げたい人など、結婚という形式を選ぶ人にもそれぞれの思いがあります。
他の国と同様、イタリアにも広く伝わる風習がいくつかあって、新郎は結婚式より前に新婦のウェディングドレス姿を見てはならないとか、新郎が教会に行くため自宅を一歩でも出たら、何があっても家に戻ってはならないなどと言われています。婚約指輪と結婚指輪を同時に買うのも、結婚式の前に結婚指輪をするのも、縁起が悪いのでご法度です。
結婚の色としては、誠実さと純粋さを象徴するライトブルー、つまり水色が最上とされています。婚礼衣装のディテールに差し色としてよく使われますし、結婚式全体のテーマカラーにすることも多いのです。
ウェディングベールもまた長い歴史を持つアイテムですが、イタリアでは地方によって、婚約していた年数に応じてベールの長さが決まるという風習が今でも存在します。昔々のローマ帝国時代、ベールは花嫁の奥ゆかしさの象徴であると共に、式の最後まで顔を覆うことで花嫁の心変わりを防ぐものでもありました。思わず笑ってしまうけれど、これも史実にしっかり残っている話です。
繁栄と幸福を願って式の最後に教会の外で米を撒く行為は、豊穣の雨の恵みの象徴とされてきた習慣です。昨今はシャボン玉、花の種やフルーツ、吹き流しや紙ふぶき、ポンポン、パズルのピースなど、しっかりイマドキでエコフレンドリーな代用品があるので(ライスシャワーは食べ物の無駄遣いである上に、その米を食べた鳥の死因にもなるそうです)、新郎新婦はそれらを上手に使うことで、この伝統行事を自分たち流に演出しています。


ライスシャワー用のコーン

新郎のネクタイを細かく切り刻んで男性の列席者に配り、受け取った男性客が少額の心付けを新郎新婦に渡すのも、イタリアの一部の地方に伝わる習わしです。
イタリアで結婚する時期として選ばれることが最も多いのは6月と9月ですが(その理由は気候)、伝統的に喜びと富の月とされている11月の人気も高めです。
イタリアの結婚式で引き出物はとっても重要な存在。この引き出物という習慣は、15世紀末にフランスから伝わったもののようです。


雨のように降りそそぐコンフェッティ(紙ふぶき)

この引き出物はボンボニエーラと呼ばれています。当時の貴族階級の人々が、フランスでお菓子を意味する有名なボンボンを持ち歩かなければならなかったことがこの名の由来です。

ボンボニエーラの伝統に忠実に従うなら、クリスタルか銀食器、磁器を選ぶのが本筋ですが、昨今では小さめの植物や手作りのギフト、中にはチャリティーに寄付をしたことを知らせる記念のポストカードとコンフェッティ(過去の私のブログでもご紹介した、アーモンドの砂糖がけのこと)を贈るカップルもいます。
引き出物は伝統的に、ケーキカットの後で列席者に配るもの。コンフェッティを載せた銀のお盆を新郎が持ち、そこから銀のスプーンで奇数になるように取ってゲストに渡すのは新婦の役目です。


ボンボニエールはケーキ入刀後に配るのがお約束

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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