150万を超える人口を抱える一方で、キツネやオオカミ、シカ、イノシシ、リス、メンフクロウその他、多くの種類の野生動物が生息しています。
動物たちはずっと地域の大切な存在として扱われ、広域公園で保護されながら暮らしてきました。
とりあえず、アヴェト国立公園に野生の馬がいることはぜひ知っておいてください。ここでは約40頭が群棲しているのですが、何年も前に一人のブリーダーが育てていた馬の子孫は今や牧草やブナの木を食べながら自力で生きており、中には人間とまったく接触したことがない馬もいます。アヴェト公園主催のホースウォッチング特別ツアーに参加すれば、この野生の馬たちを観察し、生態を理解することができます。
一方、ジェノヴァ県のメーレとマゾーネという二つの集落の間の森には、通称レベル・カウ(「反抗の牛」の意味)と呼ばれる野生の牛が住んでいます。90年代末、メーレにあった牛の飼育場が立ち行かなくなり、居場所を追われた牛たちは野生で生き残る術を身に付けながら二つの群れに分かれました。一方はリグーリア山脈のアルタ・ヴィア沿いにあるメーレとマゾーネに、もう一方はサボナ市周辺の後背地に位置するアペニン山脈、モンテ・ベイグア山間部の広域公園の近くに拠点を移します。この二つの小さな群れの牛たちは、菜園や農作物、果樹園を荒らすのがタマにキズですが、今や短編映画の主役を張るほどの人気者となっています。
オオカミなどの野生動物が住んでいるモンテ・ベイグア
リグーリアの希少動物と言えば、なんといってもオオカミが有名です。無差別な狩猟の結果、1900年代前半に一度姿を消したオオカミですが、その後、完全なる自然現象の“ディスパージョン(分散)”と呼ばれる規則的な繁殖周期によって、全く自発的にリグーリアの山に再びその姿を現したのです。現在、アントラ山脈とヴァル・ダヴェート(アヴェト谷)、リグーリアン・アルプスでは、危険な事態に備えてフェンスや番犬、しかるべき装置などが配置された中、複数のオオカミの家族が生息しています。
この地域のその他の動物では、ビアンコーネと呼ばれる昼行性の大きな鳥もご紹介したいところ。さまざまなパターンを描く羽毛と、ビアンコーネという名の由来となった白い下肢(「ビアンコ」は「白」を意味するイタリア語)が特徴の猛禽です。モンテ・ベイグアを見下ろすリグーリアの森で繁殖活動をするために、春先になると西アフリカからジブラルタル海峡経由でこの地まで渡ってくるのです。
滅多に見られないけれど美しいことでつとに知られているのがキバラスズガエルです。このヒキガエル、黄色と黒の腹部が印象的なのですが、これが捕食者から身を守る役目を果たしているのだとか。つい先ごろ、地域ぐるみでキバラスズガエルの保護に出資すべきという議論が盛り上がりました。モンテ・マルチェッロ-マグラ公園は最近、キバラスズガエルを絶滅の危機から救い、地域の生物学的多様性に寄与したプロジェクトに対して世界自然保護基金(WWF)から表彰されています。
皆さんがよく知っている動物のお話もしましょう。リグーリア州では毎年、フェスタ・デル・カント・デル・ガッロ(「歌う雄鶏フェスティバル」)が開催されます。
ジェノヴァに近いサン・バルトロメーオ・アル・マーレのフェアの一環として行われるこのお祭りには、最も美しい「コケコッコー」の歌い手を決めるべく、地元はおろかイタリア中の人々が集まってきます。この行事の栄えある勝者名簿には、“毛羽立ちロビー”から“アステリクス”まで、すでに多くの雄鶏たちが名を連ねているんですよ。
ジェノヴァ市から至近距離のヴァッレ・スクリービアには、なんと学校に通うロバさんを発見!実はこのロバたち(ジェノヴァ語でaŝe)、殺処分を行わない非営利の動物保護団体のパラディッソで保護されているという背景があるのです。彼らはSNSで何千ものフォロワーを抱える人気者で、身体障碍や学習障害を持つ子供たちが有意義な学校生活を送れるよう、子供たちのトレッキングやハイキングツアーに同行するプロジェクトで大活躍しています。
このプロジェクトは“ペット・セラピー”によって子供の学習を支援しながらシェルターの資金を調達することを目的として生まれたものです。出来の悪い子を揶揄する際にイタリア人が口にする「ダメな生徒はロバ同然」という常套句をジョークとして利用した発想がお見事ですよね。
かの有名な童話「ピノッキオの冒険」を読んだことがある方は、学校をサボったピノッキオがロバの姿に変えられてしまう場面を思い出してみてください。
非営利団体パラディッソ・シェルターのロバたち