• 2019.07.30
  • リグーリアに行くなら…フォカッチャ・ディ・レッコを食せ!
私がこのブログに書く記事って、食べる話が多いなあと自分でも思うのですが、イタリアに行ったことがある人なら、私たちの興味や人生において「食」がどれほど大きな存在であるか、きっとわかっていただけるはずです。

世界的に知られているイタリアの「食」の中で、リグーリア地方の食べものも例外ではありません。

多くのリグーリア産の製品は、DOPやIGP、STGといったヨーロッパ基準によって認定されラベリングをされています。これらが何を意味する略語なのか、ご存知ですか?

DOP(Protected Designation of Origin)は、「原産地名称保護制度」を意味します。

DOPのラベルは、その品質特性が本質的あるいは独占的に産出される場所の地域性に依存している農産物や農産食品に対して付けられます。

リグーリア州が提供するDOP製品:

リヴィエーラ・リグーレ・エクストラバージンオリーブオイル(「グリーンゴールド」と呼ぶ地域もある)や、有名なペストソースに使われるジエノベーゼバジルがあります。

IGP(Protected Geographical Indication)とは、「地理的表示保護」のことです。

IGPのラベルは、農業製品や食品のうち一定の品質や知名度、または特性が地理的産地に依存し、その生産過程(生産、加工、製造)のうち少なくとも一つが特定の地域で行われたものが対象となります。ただし、すべての生産過程において欧州連合(EU)が設定する製品規定水準のルールを順守しなければなりません。

リグーリア州のIGP製品の一例:

リグーリア海で水揚げしたアンチョビ、フォカッチャ・ディ・レッコ(レッコの町のフォカッチャ)など。

観光客がこれを目当てにはるばる海外からやって来ると言っても過言ではないこの特別な、そしておいしいフォカッチャについて、今回はちょっぴり詳しくお話してみたいと思います。

ここイタリアでは説明不要なほど有名なフォカッチャ・ディ・レッコですが、地域色が強く、材料として丘陵地帯で作ったフレッシュな地元産チーズが必要なので、他の国ではそれほどポピュラーな食べものではないかもしれません。

このフォカッチャにはパン種も、イーストすら不要です。簡単に手早く作れるレシピで、トマトソースやモッツァレラチーズ、ホウレン草、プロシュートやハムなどを中に詰めたものもあります。ただし、正真正銘のオリジナルレシピでは新鮮なの地元産のチーズのみを使います。
小麦粉と塩、エクストラバージンオリーブオイルと新鮮な地元産のチーズだけで作った、シンプルでヘルシーなフォカッチャ・ディ・レッコ。手を使って生地を極限まで薄く伸ばす技術が必要なのと、250度以上の高温が出せるオーブンが必須という点で、手作りするにはちょっとだけハードルが高いかもしれませんね。

IGPチーズを使ったフォカッチャ・ディ・レッコは、小麦粉(イーストは使わない)とエクストラバージンオリーブオイル、水と塩を混ぜたものを焼いた生地にフレッシュでソフトなチーズを詰めて作ります。中にチーズを入れるのと、なんといっても生地が薄いので、イタリア伝統とされる王道のタイプやリグーリア地方の他のフォカッチャとの違いは一目瞭然です。それに加えて特筆すべきなのが、クリーミーで甘く、ほんの少し酸っぱい後味がクセになるチーズのおいしさです。このフォカッチャが作られるエリアは、ジェノヴァのレッコ、アヴェーニョ、ソーリ、カモーリの自治体全域にわたります。その他の地域で作られたのは違うのかって? はい、それは本来のフォカッチャ・ディ・レッコとは別ものです!

毎年5月にレッコの町で開催されるフォカッチャ・ディ・レッコのお祭りは、今年で通算64回目を迎えました。このフードフェアは朝からスタートして日暮れまで続く、最高にごきげんなパーティです。プレーンなフォカッチャから、シンプルながら極上の、真似できない風味で名高いIGPチーズ入りレッコのフォカッチャまで、無料で試食できてしまうという贅沢でおいしいプログラムです。

リグーリア地方におけるフォカッチャというのは、単においしい食べものという以上に、たとえそれが朝食であっても一種の儀式的な存在です。
どんなグルメも唸らせるほどの香りと色、味わいを持ったフォカッチャの魅力に逆らうことはできません。

生粋のリグーリアっ子は、朝ごはんにフォカッチャをカプチーノに浸して食べます。しょっぱかろうが、脂が浮こうが、そんなことはお構いなし。
昨今はいろんなタイプのフォカッチャが出回っていますが、レッコで王座を守り続けているのは、名高いフォカッチャ・アル・フォルマッジオ(チーズのフォカッチャ)だけなのです。



特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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