• 2019.12.19
  • ジェノヴァにホリデーシーズン来たる
私の住んでいる地域は最近、甚大な水害に見舞われました。河川は氾濫し、住民は自宅から避難を余儀なくされ、また別の自動車道路橋が倒壊するなど深刻な状況にある中で、明るい話題と言えばホリデーシーズンの到来です。クリスマスの精神を保って「deck the halls(ヒイラギを飾ろう)」と、誰もが一生懸命なのです。

公式なホリデーシーズンは、無原罪の聖マリアの祝日である12月8日に始まり、1月6日の公現祭まで続きます。
試食会やマーケット、音楽イベントなど、ジェノヴァで行われるクリスマスの祝祭イベントは数知れず。ジェノヴァっ子たちが首を長くして待っているのは、今年で31回目という歴史を誇るサン・ニコラのマーケットです。会場はこれまで幾度か変わったものの、今年はジェノヴァ最大の広場、ピッカピエトラ広場に戻ってきました。
サン・ニコラのマーケットは、イタリアで唯一、非営利団体が運営するマーケット。フード、音楽、エンターテインメント、工芸品に至るまで、ここで販売ないし製造しているのはすべて地域発のもので、60以上の露店が連帯しながら出店しています。クリスマスのために団結するのは、例年このマーケットに参加するジェノヴァのサッカーチームも然り。チームの選手のサイン入りジャージをマーケットの福引きの景品として出し、地域の慈善事業の資金援助に貢献しているのです。


ジェノヴァのサン・ニコラのマーケット

でも、ツリーのないクリスマスはあり得ませんよね。12月8日日曜日の午後遅い時刻、フェッラーリ広場のクリスマスツリーの点灯式が復活します。このセレモニーを以て、数々の祝祭やホリデーイベントの季節が正式にスタートするというわけです。
ポルト・アンティコと呼ばれる旧港で初めて開催される大規模なクリスマスフェアも、必見中の必見イベント。
旧港はこのイベントの期間中、イタリア全土から集められたプレゼント候補の品々やご馳走が並ぶ、本物のクリスマス村に変身します。
大型の観覧車からアイススケートのリンク、時代を超えて楽しめるパノラマリフト「ビーゴ」やCittà dei Bambini子ども博物館など、ショッピングの楽しみだけでなくレクレーション施設も充実しています。


旧港のクリスマスフェアも必見

アメリカン・インターナショナル・ウィメンズ・クラブが運営するクリスマス・バザーは、ジェノヴァ地区の慈善と博愛の精神による活動を通して作られた品々の売上金の寄付を行うイベントです。アメリカ産の食べもの、ヴィンテージ雑貨や服、書籍、オリジナルの装飾品やクリスマスバスケット、フリーマーケット、アクセサリーやちょっとした装身具などが揃うバザーは、他にはないクリスマスプレゼントの宝庫と言えるでしょう。
サンタクロースは今年から、自分のビーチハウスをポルトフィーノ岬の絶景が望めるラパッロへと移すことにしたようです。お子さんたちもこの家を訪れて、素敵なロケーションをバックにサンタさんと写真を撮ることもできますよ。
伝統的にジェノヴァっ子に馴染み深い行事がCunföguで、これは自治体が仕切って行う儀式です。今年の火はどっち方面で焚かれるのかが、ジェノヴァの人たちの一大関心事。歴史的な扮装をした編隊がまず登場し、続いて地元の楽隊が音楽を演奏します。それから最後に幸運をもたらす炎の点火が行われます。
リグーリア地方のこの伝統は、ジェノヴァ共和国時代に生まれたもの。
毎年クリスマス直前の日曜日、クリスマスのお祝いとともに市長への敬意を表して執り行われているのです。
行事の最後には、古代の「旧広場」の真ん中で大きなかがり火を焚くのが習わしです。言い伝えによれば、木の葉と月桂樹の枝をくべた炎が天高く燃え上がるほど、良い新年が迎えられるそうですよ。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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