1つ目は、政府が最初に立ち上げたハッシュタグIo Resto A Casa(私は家にいます)です。これはすべてのイタリア人に対し、感染とウイルスの拡大を食い止めるために自分の家にいようと呼びかけるもの。2番目がAndra’ Tutto Bene(すべてうまくいくよ)で、SNS、休業中のカフェやショップやレストランのシャッター、バルコニーに飾った旗などに、希望に満ちたこの文字列が今、並んでいます。
Io Resto A Casaのハッシュタグは、多数のイタリアのセレブたち(主に歌手、ミュージシャン、テレビの司会者、作家、俳優)の協力を得たイタリア政府がテレビで発信しました。彼らが「自宅のドアを開け」、自分たちも家にいるというルールを守る姿を見せることで、尊敬すべきロールモデルを演じたのです。
在宅中のセレブたちによる即興ライブセッション、各種ハウツー企画や料理ショーのほか、退屈したり落ち込んだりしないで家の中で過ごすためのアイディアなどが披露されました。
家での家族との過ごし方を見直す、その時間を使って何かを学ぶ、子供と遊ぶ、屋内でできる新しい趣味を見つけるといったヒントを伝授するセレブもいました。
それに比べるとAndra’ Tutto Beneが生まれたきっかけは、ロマンティックな謎に包まれています。
イタリアで最初にこの疫病に見舞われ、最多の感染者を出したロンバルディア州のいくつかの自治体で、3月初旬のある朝、「Andra’ Tutto Bene」のメッセージに手書きの小さなハートのイラストが添えられた数枚のポストイットが家のドアに貼られているのを住民たちが見つけたのが始まりのようです。
教会の扉やバスの停留所、ショップのウィンドウ、公園のベンチ、果てはインターホンまで、ロンバルディア州のあらゆる場所で、これと同じメッセージが大量に見つかっています。
この活動の発案者は今も匿名のまま。この件に関するニュースが報道されてからも、誰も名乗り出ていません。
新型コロナウイルスが蔓延している時期における希望のメッセージとなったこの行動は、ささやかな行為の持つ力を再確認させてくれました。何の見返りも求めることなく誰かを励ますというのは、無欲で親切な行為です。このメッセージは、私たちはひとつの舟で同じ困難に立ち向かう仲間であることを象徴し、見知らぬ人同士も含めてお互いを思いやることが何よりも大切だと訴えるものでした。物理的に離れていなければならず、各自が家にこもって孤立せざるを得ない時でも私たちはみんな一緒だよ、お互いに寄り添い合っているからね、とこのメッセージは伝えようとしています。
多くの家庭がこのアイディアを真似して、虹を描いたイラストにAndra’ Tutto Beneと記したメッセージを家の窓に掲げ始めました。数少ない通行者や隣近所の人たちに向けて、互いに希望を与え合い、どんよりとした長引く隔離政策中の日々にせめて少しでも色彩を添えようとしたのです。
今、私たちは見えない敵との戦時下にあるが、戦地へと赴くよう命じられた祖父母たちと違って、皆さんにはただ、テーブルゲームをしながら家のソファにいるようお願いしたいのだと、我が国の首相はある会議で語りました。
子供向けのテレビ局はすでに、ファンキーなカバさんやモンスターみたいなウイルスが登場するアニメ仕立ての可愛らしいテレビコマーシャルを制作しています。内容としては正しい手洗いの方法を教え、「お化けのウイルス」を退治するには家にいることが大切だと伝えながら今の状況を子供たちに説明するものです。
みんなで一緒に1日でも早く、このひどいモンスターを退治できますように!
私たちのAndra’ Tutto Beneの旗