• 2021.10.27
  • リグーリア ブログ-時をかけるお菓子
私たちは今年、2年間の空白を経てやっと、大人気のサグラ(地元の食材を味わうお祭り)の復活の日を迎えることができました。
9月にリグーリア地方で再開されたドルチッシマ・ピエトラは、週末を丸々使ってイタリアと各地方特産のハンドメイドのお菓子を紹介し販売する、一大イベントです。
何年も前から開催され、今回で17回目を迎えたこの美味しいものが盛りだくさんの週末は、スーパーマーケットの商品棚にふたたび並び始めたチョコレートと共に、夏の終わりと秋の訪れを知らせる、誰もが待ちわびていたイベントです。そして何より集まった人の数の多さから考えて、パンデミックの「終息」を、あるいは「終息」したと考えられていることを意味するお祭りになりました。イタリアのスーパーでは夏の間、チョコレートがほとんど売られていないことをご存知ない方もいるでしょう。この時期のチョコレートは劣化が早いという考えから、少なくとも国内や地方のメーカーは、市場に出回っているチョコレートを回収してしまうのです。
私が行ったのは、例年ピエトラ・リーグレの歴史地区で開催されているイベントです。道路や路地、広場を使ってさまざまな展示エリアが設けられ、お菓子のレシピやチョコレートの調理方法に関するワークショップも開催されていました。
このイベントにはこれまで毎年決まったテーマがあって、今年のテーマは「未来を見据える」、つまり「イノベーション」です。

それから、パティシェたちはプロならではの技術を競い合い、お菓子作りの愛好家にとっては腕試しや新たなレシピ習得に良い機会にもなる、製菓コンテストも行われていました。
イタリア各地のスイーツを展示するのはもちろん、このイベントでは毎回各地の特産品や生産者を紹介するコーナーがあります。ほかにも、以前から設けられているのがジェノヴァ伝統のパンのフォカッチャを作っているコーナーです。イタリアのほかの地域では見かけませんが、リグーリア州ではフォカッチャをデザートやカプチーノと合わせて食べることが多いんですよ。

このフェスティバルで、ザクっとした食感がたまらない、地元のお菓子屋さん特製の珍しいプラリネを購入しました。直径3センチほどの丸いプラリネで、炙ったヘーゼルナッツをチョコレートで包み、白い小さなシュガービーズがまぶしてあります。シュガービーズは、80年代初頭までは色がついていました(子どもの頃食べたものは着色されていたと記憶していますが、のちに食用着色料の使用が禁止されたのです)。
縁がヒラヒラになったカラーホイルで包み、両端がねじってあります。


ザクっとした歯ごたえがたまらない自家製プラリネ

ほかにも、子ども時代から慣れ親しんだお目当てのお菓子が買えました。それは、砂糖漬けのスミレです。
お砂糖をかぶったスミレの花は、ケーキの飾りつけ材料として最高なのです。
完全なる天然食材だし、子どもが食べても安全なうえに彼らが大好きな味というのが良いところ。
使われる材料は、食用可能な花(スミレ)と砂糖だけです。
見た目もきれいな紫で、しかも自然の色ですから、プレゼントとしても素敵ですよね。
それから、トフィー・キャンディ。名前こそ外来語だけどジェノヴァゆかりのスイーツで、そのレシピは20世紀初めから伝わっています。
モー・キャンディの名前でも知られ、キャラメルから作るイギリス発祥のお菓子です。
材料はクリーム、牛乳、練乳とバター。コーヒーやココア、バニラ、ココナツ、シナモンなどで風味をプラスしても美味しいです。
レーズンや蜂蜜、刻んだアーモンドやヘーゼルナッツを加えたり、中にラム酒を詰めたりしたものもあります。トフィー・キャンディは、蜂蜜色がかった明るい茶色をしています。子どものころを思い出させてくれるお手製のモー・キャンディは、大量生産のものよりずっと美味しいです。硬いキャンディですが、口の中に入れると少しずつ柔らかくなり、とろけていきますよ。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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