• 2021.11.11
  • レストランの新しい形、「ファストパスタ」
「選択の自由」ということが何かと話題になる今日この頃、みんなが大好きなパスタだって自由に選ぼうよ、という時代になりました。
最も伝統あるイタリア料理に、お手頃価格もポイントの「時短」でダイナミックなサービスというイノベーションがプラスされたのです。
「おいしいパスタは幸せを運んでくる」というのはもはや、ただのイタリアの諺を超えた、常識のようなもの。レストランの席に着いて自分の好みどおりの注文ができるなら、そこは間違いなく「正解」の場所なのです。イタリア伝統のソースをまとったパスタが1枚看板で主役を張っているのが、この新しい「ファストパスタレストラン」というわけです。
ご希望(wish)どおりのひと皿(dish)を、あなた自身で作り出しましょう!(“wish”と“dish”で韻を踏んでみました。)
この新形態のダイナーではパスタの形状、生パスタか乾燥パスタか、果てはグルテンフリーや全粒粉のレベルまで選べるという点が、伝統的なイタリア料理店と異なります。
生パスタの種類も豊富で、リグーリア名物のトロフィエ、ホウレン草のニョッキ、ゴルゴンゾーラチーズとラディッキオ(赤チコリ)を詰めたラヴィオリなどがあります。
夏は新鮮な魚をフィリングにしたラヴィオローネ(大きいラヴィオリ)、秋ならカボチャを詰めたラヴィオリなど、季節ごとのお勧めメニューまであります。
サービスが「ファスト」でも質は劣らないどころか、むしろその逆なのです。
パスタもソースもすべて自家製です。いつも質の良い材料が使われているし、好きなアレンジでメニューを決められるから、どんな好みの人でも満足できるはず。実際、繊細でおいしく、独創的な組み合わせを楽しんでもらいたいとの思いから、イタリアの伝統的なレシピに加えて、創意あふれるソースまで用意されています。
さて、ショートパスタとロングパスタはどちらを選びましょうか?どんな時に生パスタを選ぶといいのでしょうか?
イタリアではどのソースにもそれぞれ合わせるべきパスタの形があり、逆もまた然り。パスタに一家言ある人にとっては、すべてを正しく組み合わせるのは、トリッキーなゲームのようなものなのです。
ファストパスタのお店で選べるパスタは、タリオリーニ、オレッキエッテ、リガトーニ・ディ・グラニャーノ、トロフィエッテ、スパゲッティ・アッラ・キタッラ(断面が四角いスパゲッティ)、その他にもいろいろあります。すべてのパスタは厳選された小麦粉(古典的な挽き粉、全粒粉、ホラーサーン小麦粉、グルテンフリー)を使った、「白い芸術」の職人の手による自家製です。
うまい組み合わせができるようにあなたを助けるのは、もちろんウエイターの仕事です。たとえば、カチョエペペ(チーズと黒コショウ)やアマトリチャーナ(トマトとベーコン)などのソースは、合わせるパスタの形が決まっていますが(カチョエペペとアマトリチャーナにはスパゲッティ、という具合)、定番とは違うパスタと組み合わせたとしても、ウエイターから批判されることはありません。
外国人の友達と一緒にこうしたファストパスタの店に行って、パスタの「イタリア式ルール」などお構いなしの彼らのオーダーぶりを見た時は、実に楽しかったです。
お店のウエイターに聞けば、「正当な」組み合わせや、好みに応じた組み合わせをアドバイスしてくれます。彼らはある意味「パスタのソムリエ」ですから、間違いのない組み合わせを知っています。
いろんな種類のパスタと相性の良いソースだって、たくさんありますよ。
私が個人的に好きなのは、ナッツ風味のソースと生パスタのコンビ。ピスタチオのペストソースにゴルゴンゾーラとラディッキオを詰めたラヴィオリ、くるみのペストにカボチャのフィリングのラヴィオリという風に組み合わせています。


ラヴィオリはどんなソースにもよく合いますが…


…プリン(ひねった形のラヴィオリ)は、セージとバターやナッツ系のソースと相性抜群

パスタを自分好みにアレンジして、メニューを決められるというのが、このタイプのレストランの特徴です。肉料理も魚料理もサラダも無し、選べるのはパスタだけですから、ダイエット中の人にはお勧めしません!
デザートメニューを置いているお店は多いけど、残念ながら自分好みにデザートをアレンジしたり、その場でケーキを組み合わせたりはできません!
セルフアレンジ式のレストランが次に開拓するジャンルは、もしかしたらデザートかも知れませんね。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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