• 2022.02.10
  • ラヴァーニャ村とローマ街道
この頃になって(またしても!)ほぼすべての屋内イベントの中止が相次ぎ、屋外で過ごす時間のありがたみが増しています。
私の友達はスキーに行く人が多いけれど、スキーができない私はハイキングに出かけます。
冬に歩くなら、ラヴァーニャ村のハイキングコースが好きです。ここの歩道は管理が行き届いていますが、道幅が狭くて夏には海水浴客でごった返しますから、このシーズンに訪れるのがお気に入りなのです。ジェノヴァにも近く、湾全体を眺められるこの景色の良いコースは、林の中を通ります。林がハイカーたちを風から守ってくれるし、木々の本数も多すぎず気温も極端に低くならないので、冬の季節のハイキングにはぴったりの場所なのです。

リグーリア地方には、州の端っこから反対側の端までの海と山の間を海岸沿いに走る素敵なトレイルがあります。ラヴァーニャ村のハイキングコースもその一部です。
リグーリア州のこのトレイルは500kmを超える長さで、西側のフランス国境に近いポネンテのリグーリア沿岸と、東のトスカーナ州に接するレヴァンテを結んでいます。
長い道中には何世紀もの歴史を持つ集落もあり、両側を海と木々に挟まれた贅沢な景観に息を呑む瞬間も味わえます。20のエリアに分けられたトレイルは、かつてローマ人たちが使っていた古代の道「ジュリア・アウグスタ街道」沿いに延びているので、道沿いでローマ時代の遺跡を見かけることも珍しくありません。
村や町、人の住む農村地帯を通り抜けて、海岸線に添って伸びるこの道を歩いているうちに、だんだんとこの土地の魅力に気づかされます。コースも様々でどの地点からもスタート可能なので、すべての道のりを踏破することも、短い距離をサクッと歩くこともできます。道中で快適な宿に泊まったり、食事を楽しんだりするのもいいですね。ローカルガイドによる、地元の特産品やレストランを楽しむグルメツアーもたくさん用意されています。
私が歩いたのは、ジェノヴァ市のラヴァーニャに近く、オリーブ畑と石垣に囲まれた歩道と階段がほとんどの、とくに大変な箇所もないコースでした。とはいえ、今回のコースでも最も高いところで海抜700mに達したり、スタート地点は海のすぐそばだったりしますから、しかるべき服装と道具を用意のうえ、最低限のトレーニングをしておくことをお勧めします。
現地には朝早く到着したので、出発の前にラヴァーニャの歴史的中心地を散歩しました。
ラヴァーニャは古風で趣のある漁村で、ひっそりと静まり返った雰囲気に浸りながら、トレイル出発前のパワーを充電できる最高の場所でした。
村の散策を楽しんだあとに向かったのは、いわくありげな広場を見渡す場所に建てられた大聖堂。ここが指定のスタート地点です。
リグーリア地方東部にある中世期の名所の中でも、このロマネスク・ゴシック建築様式の教会はとくに重要なスポットのひとつ。大理石のファサードや、かつて海や内陸地から襲来する敵を監視するために作られた、4つの窓を備えた巨大な塔は一見の価値ありです。
このトレイルは、かつて商取引のために使われていた古い馬車道からスタートします。
途中、海を見下ろす場所に建てられた静かな小さい墓地を通り抜けました。
コースのいたるところに標識が設置されています。手持ちのガイドブックによれば、この道は、かつて川の下流の石切り場で取れる粘板岩の破片を運ぶ女性たちが通った道だとか。女性たちは何キロもある石の破片を頭上にのせて歩いたそうです。
行き来する場所の高低差も相まって、働く人たちにしてみれば、さぞかし大変な骨の折れる日々の営みだったでしょう。
頂上では入り江の絶景を堪能しました。その日はよく晴れていたので、遠くからでもジェノヴァ市内の自宅を見つけることができました。


頂上からの眺め

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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