年末年始営業のご案内
12月31日(火):18:00終了
2025年1月1日(水):全館休業
※各店舗の年末年始の営業についてはフロアガイドよりご覧下さい。

  • 2022.02.24
  • タイムトラベルにようこそ - 古き良きボッテガと石づくりの細い路地を訪ねて
クリストファー・コロンブスの時代、はるか遠い異国の香りや色彩を放つ荷物を積んだ船が港に来ていた頃のジェノヴァがどんな姿をしていたのか、皆さんは果たして想像することができるでしょうか。
16世紀当時のままの姿ではありませんが、ジェノヴァの街は西洋のバザールと呼ばれ、歴史地区には裏通りやケーブルカー、カルッギ(caruggi)と呼ばれる細い路地、そして夥しい数の店が集まっています。
古くから営業しているお店がたくさんあり、その背景には分厚い歴史が積み重なっています。それらの歴史を観光客や若い世代の人たちに知ってもらいながら、その独自性を守ろうと活動している団体もあるほどです。

そういった店が街の歴史に大きく貢献してきたことは、ジェノヴァの街を歩いてみればわかります。よくあるただのお店ではなく、70年も80年も前から営業していて、過ぎし日の雰囲気や当時と同じ情熱を感じさせてくれる名店ばかりだからです。
ジェノヴァの歴史ある商店のことをジェノヴァっ子はヴェーチェ・ボッテガ(古い店)と呼びます。そうした店では通常、昔からの調度や道具、備品、看板が今もそのまま使われており、訪れるだけで過去の世界に飛び込んだような錯覚に襲われます。
こうした店の中にはフリッテリア(揚げもの料理全般を出す、穴場の食堂)や老舗のトリッペリア(トリッパすなわち臓物料理の店)、お菓子屋さんやペストリー店、仕立屋さん、服と靴の店、さらには薬局もあります。
それはもう、新たな発見が満ち溢れ、訪れる人が圧倒されるような世界なのです。
ジェノヴァのように老舗の魅力を維持できている都市はイタリアではあまり多くありません。これは、ジェノヴァ市と商工会議所、商工団体からなる委員会が10年以上に渡り歴史的店舗の登録を推進してきたおかげです。現在までに14店舗が歴史的店舗として委員会から認定を受けています。
繰り返しになりますが、こういう店を訪れるとまるで過去へとタイムスリップしたような気分になります。例えば、1890年から営業しているトリッペリアがあるのですが、この店は現代化とは無縁で、昔のままの姿が保たれています。
1800年代初頭に塩の貯蔵庫だった場所をトラットリアに改造した小さなレストランは、床も薪オーブンも開業当初のままで、このオーブンで極上のトルタ・パスカリーナ(ホウレン草とリコッタチーズ、ゆで卵入りのパイ)や有名なファリナータ(ひよこ豆の平パン)を焼いています。古い円天井や19世紀の調度品に囲まれながら、人気のおいしいランチに舌鼓を打ってみるのもいいですね。
こうした店や工房や食堂には、委員会から贈られた、由緒ある店舗の証しである銘板が誇らしげに掲示されています。
歴史的店舗として登録されている工房では吹きガラス、切手の製造、木工細工などの伝統的技術が継承されています。
最近読んだ記事によると、老舗の店や工房として登録されるには必要な条件が二つあるそうです。一つ目は、営業開始当初からある建築要素や調度品、備品、歴史的な道具などが今も現役で使われていること、二つ目に事業の歴史を証明する書類を保管していて、かつ、これまでに70年以上事業が継続していることです。


老舗の商店

商店以外にも、過去にタイムトラベルできる場所ならジェノヴァにはたくさんあります。
ひっそりと静かな街角で車も通れないほど道幅の狭い路地を歩いていると、まるでこの世ではない場所にいるような気分になります。
とりわけ素敵なのが、旧市街や街の中心地からもさほど遠くなく、「ストロベリー小路」「プラム街道」「アーモンド路地」「ミルクチョコレート通り」などと訳せてしまう、おとぎ話のような名前が付いた通りが集まる界隈です。
この一角は「カルミネ」と名付けられていて、狭い路地のおかげで都心の喧騒とは無縁のエリアです。上り坂が多く、私有庭園や美しい花々で飾り付けられたバルコニーが並んでいます。
都心からも近いカルミネは、ひと味ちがったジェノヴァに出会いたい人にはぜひ行き先リストに入れることをお勧めしたい、とっておきの場所です。
近隣の住人でもない限り、ここにはジェノヴァの人でさえわざわざ行くこともありません。でも、庭園や滝や広い牧草地まであって、鉢合わせしたシカやヤギに草を食べさせるなんていうハプニングも期待できちゃう、本当に魅力的なところです。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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