• 2022.10.12
  • リグーリア・ブログ―セイボリーパイとプレシンスーア
リグーリア料理といえば、軽くてヘルシーなイメージで知られています。
ジェノヴァっ子は近所のデリで調理済みの料理を買うことが多く、街で1番有名なデリともなると長い行列に並んだり、整理券を取って注文の順番を待ったりすることもザラです。
ラビオリやリングイネなどの生パスタやソース、ピクルス、パスタのサラダなどもデリで調達できます。
しかし、デリの主役は何と言ってもリグーリアならではのセイボリーパイ、つまり「甘くないお食事パイ」です。
ジェノヴァ式のセイボリーパイの生地はバターや動物性油脂を使わず、ほんの少量のエクストラヴァージン・オリーブオイルで作るのが他のイタリア式ペストリーと異なるポイント。
コースの前菜にもメインにもなるし、さらにはこれだけで簡単にごはんを済ませることもできて使い勝手のいいセイボリーパイは、さまざまな食事の場面で登場します。伝統的なパイはフダンソウ、カボチャのポリッジ、米とチーズまたはホウレンソウとプレシンスーアなどのフィリングを詰めて作ります。
プレシンスーアはジェノヴァ州リグーリア地方の代表的な乳製品で、カード、つまり牛やヤギの乳を酵素などで凝固させて作るフレッシュチーズの一種です。
ヨーグルトとリコッタチーズの中間ぐらいの粘度で、酸味が強いのが特徴です。仔牛の胃袋の消化液から抽出される、レンネットという凝乳酵素を使って作ります。
このチーズはラビオリやパイのフィリングに多用されますが、酸味が強いのでそのまま食べることはありません。
起源は非常に古いそうで、おそらくは生乳の加工の過程から生まれたチーズらしいと言われています
かつてはかの有名なフォカッチャ・ディ・レッコのフィリングに使われることが多かったプレシンスーアですが、少量生産であることと、このタイプのフォカッチャの需要が急増したことから、ストラッキーノというチーズにその座を奪われてしまいました。
私のお気に入りのパイは、米とズッキーニのフィリングが入ったトルタ・ヴェルデ。西リグーリア全域で作られているもので、これが本当においしいのです!
手作りのパイ生地にズッキーニ、ビーツ、米、卵、パルメザンチーズを詰めて焼き上げます。
この美味なセイボリーパイはおそらく一番よく見かけるパイで、この地域にあるカフェやデリカテッセン、ベーカリーなど、あらゆる場所で手に入るはずです。
四角くカットしたものもあるし、円形のパイ型で焼いて何カットかに切り分けて売られているものもあります。
繊細で崩れやすいけれどとにかく「超美味」なこのパイは、ビュッフェやパーティのフィンガーフードにもぴったり。


フダンソウのセイボリーパイ

米とズッキーニを使ったリグーリア名物のトルタ・ヴェルデ(直訳すると「緑のパイ」)は、常温でもとても美味しく食べられるうえに、焼きたてよりも翌日はさらにおいしくなるので、前もって仕込んでおけるのが魅力です。
ここで皆さんに、私流のレシピをご紹介しましょう。

【パイ生地】
中力粉  250g


低糖生地用イースト

【フィリング】
米  80g
ズッキーニ  400g
タマネギ  1個
卵 3個
すりおろしたチーズ 80g
フダンソウ 100g
オリーブオイル 大さじ2杯
塩 お好みで

【作り方】

ズッキーニを洗って輪切りにする。
玉ねぎは皮をむき、洗って薄切りにする。
小鍋でフダンソウを5分間茹で、水気をしっかり絞って小さなボウルに取り、細かく刻む。
小鍋に水と塩を入れ火にかける。沸騰したら米を加え5分茹でる。
チャードを茹でるのに使った小鍋にオリーブオイルを入れ、玉ねぎを3分間炒める。
そこにズッキーニと塩、好みで胡椒を加えてさらに10分炒める。
火を止め、米、フダンソウ、チーズ、卵を加える。木のスプーンでよく混ぜ、冷ます。
次に、パイ生地を作る。小麦粉と低糖生地用イースト、塩をふるいにかけながらボウルに入れ、水とオリーブオイルを加える。全体が均一になりなめらかな状態になるまで生地を捏ねる。
生地にフィリングを詰め、オーブンで30分間焼き上げる。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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