市内には国連教育科学文化機関(UNESCO)の世界遺産に指定されている名所もあり、それらを高い場所から眺められるなんて、最高のひと言に尽きる体験です。
数多くある丘のビューポイントからも景色を楽しむことができますが、私のお気に入りスポットのひとつ、港沿いのエリアにある「ビゴ」からの眺めもお勧めです。
ビゴは、ジェノヴァ市全体の絶景が望めるパノラマリフトです。ジェノヴァの旧港エリアの真ん中に位置する未来的で優美なこの建造物は、波止場の水上に設置された台座部分から7本の白いアームが伸びていて、まるでお花のようにも、脚が1本足りないクモのようにも見えるデザインです。
港に近いことなどのいくつかの理由で、私はオーストラリアにあるシドニー・オペラハウスにちょっと似ているなーと思っています。
ともあれ、長さが不揃いな金属製のアームが、旧港全体に楽しい雰囲気をもたらしています。
パノラマリフトを支えているのは一番長いアームで、先端に付いているキャビンがてっぺんの40メートルの高さに達したら、キャビンがゆっくりと回転し始めるという仕掛けです。
ビゴはかの有名なイタリア人建築家のレンゾ・ピアノ氏による設計で、港で船の荷物の積み下ろしをするクレーンから着想を得たのだとか。
旧港の楽しいアトラクションであるだけでなく、数多くのフェアやイベントの開催場所となるピアッツァ・デル・フェストの支柱としての役目も果たしています。
ビゴの円形のキャビンは最も高い位置までくると回り始めます。眼下には旧港全体が広がり、歴史的地区やジェノヴァ要塞を背景としてジェノヴァ市全体を360度眺めることができるのです。
ジェノヴァを代表するモニュメントを数多く眺められるこのパノラマリフトはユニークで楽しい名所として観光客にも大人気です。
頂上からはジェノヴァ水族館や「ビオスフェラ」と呼ばれる熱帯植物園の壮大な姿も見えます。ビオスフェラは鋼鉄とガラスで作られた建物で、中に入ると熱帯微気候が完全に再現されています。その他にも、ビゴからはガラタ海洋博物館やスタジオ・ルイジ・フェッラーリス、ロマン・ポランスキー監督が映画「ポランスキーのパイレーツ」を撮影したネプチューン(ガレオン船のレプリカ)、16世紀から残る邸宅や木綿の倉庫街などを眺めることができます。
回転するビゴのキャビンから旧港の向こう側を眺めると、歴史地区の路地やソットリッパのアーケード、豪華なルネサンス様式のファサードを擁するサン・ジョルジョ宮、カステッレット地区の丘の頂上にある中世の要塞、ダルベルティス城も望めます。
さらに、地中海全域で1番高いランテルナ灯台や、18~19世紀にかけて街を囲む丘陵地に建てられたジェノヴァ要塞も見えるはず。この要塞へは、リーギというケーブルカーで行くことができます。
ビゴのリフトを操縦しているのは、リフト中央のキャビンに座っているオペレーター。ドアの開閉やリフトの上げ下げはもちろん、乗客が最高の眺めを見られるタイミングを見計らってリフトを360度回転させるのもこのオペレーターの仕事です。
通常、リフトはとてもゆっくりした速さで3~4回ほど回ってから下降します。
2022年の夏は猛暑となり、ビゴにはエアコンが付いていないため自治体はリフトの営業を数週間ストップしていました。