• 2023.02.28
  • リグーリア・ブログ‐地下鉱山の「復活」!
リグーリア州の鉱山の歴史は、数千年前に先史時代の人類が「石」を捨て、銅鉱石の採掘に着手したことから始まり、その後、金属器時代へと突入しました。
そして時は現代。ロレート山鉱山、別名ガンバテッサ鉱山が考古学鉱山博物館として開業したのが今から20年ほど前のこと。時が過ぎる中で失われ、のちに再発見されたユニークな歴史を伝えることを目的としてオープンしました。

この博物館では、会議やセミナー、学校・団体・ファミリー向けのワークショップを開催しているほか、この場所の地質学の歴史を追体験できる遺跡まであります。備え付けのヘルメットを被り、専門ガイドと一緒に採掘部屋に入ると、1800年代後半の採掘活動や地中の特殊な環境を見学することができます。
この体験は安全上の対策と近代化工事を経て再開されたのですが、新たな経営者が見つかるまでの間、現在は再び休止されています。
イタリアでは、遺跡の一部が地域、別の一部が所在地の地方自治体に属している場合、公募に基づく助成金によって管理されるので、管理者がしょっちゅう変わるわけです。

私はパンデミック前にこの鉱山を訪れたことがあるのですが、ほんとうに素晴らしく、有意義な体験でした。
ここでは、実物の鉱山の内側を見学し、まるで地底を旅行しているみたいな音響や雰囲気、感覚が味わえるという、ユニークで魅力たっぷりの体験ができます。
この鉱山は、1800年代にマンガンの採掘を行うために開設されました。ヨーロッパでも屈指の規模を誇り、多いときには200人もの鉱夫が働いていたと言われています。その後規模を縮小しながらも、21世紀初頭にオープンした鉱山博物館の傍らで、12年ほど前まで採掘が続けられていました。
長年に亘って閉鎖されていましたが、リグーリア州とアヴェト公園による安全対策および再開発プロジェクトに対する多額の投資の甲斐あって、ここはこの地域全体でも非常に魅力的な観光地のひとつとなりました。
アヴェト公園は、カネストレッリというビスケットや栗、地元産のヤギのチーズといった地域特産の美味しいものだけでなく、本物の自然や文化財が残されている地域でもあります。
この鉱山はまさに知る人ぞ知る、とっておきの名所。地球の歴史、そして貴重な鉱石を発掘すべく、長い間地面を掘り続けた人類の歴史を知れば、子どもも大人も虜になってしまうでしょう。見学する人の安全対策に十分配慮したうえで、きわめてユニークな特殊性も維持して、当時のままの状態で展示しているのには感服します。
鉱山の入り口には、見学者の移動用に鉱石運搬ワゴンを改造した、ガタゴト揺れるのが特徴の鉱山列車が設けられ、メイントンネルには歩行者通路も設置されています。
歩行者通路は土でできていて、線路沿いの照明は最小限に抑えられていますが、安全に歩行するには十分です。坑内の気温は常に13~15℃に保たれ、湿度がとても高いので、こうした環境に適した服と歩きやすい靴をお勧めします。(高い湿度と特殊な地下環境のため、小さな水たまりがあるかもしれません。)
列車に乗りながら見学できる鉱山博物館の開館は、イタリアでも初めての試みです。
現在行われている競争入札がうまくいって、この地域のベストシーズンである気温が穏やかな春と夏には、ぜひともここが再開されることを願うばかりです。

鉱山ツアー



特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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