• 2024.01.19
  • ブログ リグーリア - エドアルド・キヨッソーネ東洋美術館
ジェノヴァにあるエドアルド・キヨッソーネ東洋美術館は、アジア美術を展示する美しく趣のある美術館です。ジェノヴァ中心街にあるヴィレッタ・ディ・ネグロ公園(Villetta Dinegro)の中にあり、もっと高く評価されるべきミュージアムです。
公共の公園でもあるヴィレッタ・ディ・ネグロは、整備はあまり行き届いていないもののジェノヴァの人々にはとても人気のあるスポット。
キヨッソーネ美術館は、ヨーロッパ屈指の卓越した東洋美術コレクションを擁し、イタリア国内で最大かつ最も重要な所蔵を誇ります。
この美術館に所蔵されているのは、ジェノヴァ県アレンツァーノ出身の画家兼彫刻家、エドアルド・キヨッソーネの個人コレクションです。
リグーリア生まれのキヨッソーネはフィレンツェで学び、人生の大半を画家かつ学芸員として日本で過ごしました。
日本美術の熱心なコレクターで、同時に鑑定家でもあった彼が収集した日本美術作品は、1万5千点ほどにものぼります(のちにジェノヴァ地方自治体に寄贈)。当時、日本の封建制度が廃止され、多くの公家が財政破綻に追い込まれたため、それまで何世紀も守り続けた美術品をやむなく売りに出しました。それらをキヨッソーネが買い集めたのがこの膨大なコレクションなのです。
コレクションには、夥しい数の武器や武具のほか、中国や日本の青銅器や七宝、陶磁器、織物、漆器、能面などが含まれます。
キヨッソーネの遺言によってコレクションはジェノヴァ市に寄贈されることになり、19世紀末にジェノヴァ市へと到着しました。


エドアルド・キヨッソーネ東洋美術館

美術館のアトリウムには、宋、元の後期、明の3つの時代に亘る中国彫刻が展示され、ホールでは日本の寺院にある大きな石灯篭の心地よい灯りが来訪者を出迎えます。第一展示室に上がると、メインルームには古い銅の鐘や江戸時代の日本の巨大な彫像、仏陀座像などが並びます。
第2展示室には、19世紀末に遡る12点の印象的な日本の甲冑がショーケースに並び、壁には兜と刀や短刀などからなる具足一領や面頬(顔面を保護するための防具)などが展示されています。
第3展示室に上がると、古典派の日本画や土佐派の絵師による有名な合戦の様子を描写した見事な屏風が2双並べられています。
第4展示室では17世紀の日常生活の風景を描いた日本画を見ることができます。
ここまで来たところで経路は下り方向となり、第5展示室へと進みます。ここには日本や中国の多彩なオブジェ(日本刀の鍔、中国・日本・朝鮮の青銅鏡、中国の明時代の七宝、中国・日本・朝鮮の陶磁器、中国と日本の漆器など)が8つのショーケースに陳列されています。
第6展示室には主に日本美術品が並べられた9つのケースがあり、能面、木製・青銅製の日本の小ぶりな彫刻作品のほか、中国・チベット・ビルマで製作された小さなブロンズ彫像などが展示されています。
第1展示室を横切ってアトリウムに戻る連絡階段の途中には、江戸時代の槍などを収めた棚があり、階段の突き当たりにある、能楽の舞台衣装や18世紀の中国の礼服などが並べられたショーケースも必見です。

穏やかな雰囲気と緑に囲まれたこの美術館は、一度は訪れる価値のある場所だと思います。
ジェノヴァの中心地にあって、東洋と西洋を結ぶ懸け橋ともいうべき存在です。
またこのブログでもご紹介したい「ポリテアマ劇場」のすぐ近くというのも魅力ですね。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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