• 2024.08.26
  • ブログ リグーリア‐聖地巡礼の旅
ついに、リグーリアでは最も重要とされ、イタリアでもよく知られた巡礼地のひとつ、マドンナ・デッラ・グアルディアの聖域(Madonna della Guardia)を訪れることができました。
ジェノヴァから小さな可愛らしい列車に乗って山を登っていくのですが、電車を降りてフィゴーニャ山(Mt. Figogna)を見上げると、その壮麗な景観に目を奪われました。


聖域

この礼拝堂は15世紀にベネデット・パレートという農民によって創設されました。パレートいわく、彼はここで聖母マリアと出会い、この丘に礼拝堂を建てるようにとのお告げを受けたそうです。

グアルディアのマドンナ(守護聖母マリア)への信仰の高まりとともに、多くの巡礼者が徒歩でこの地を訪れるようになり、1890年には現在の教会と巡礼地が整備されて、訪問者を出迎えるようになりました。
今では巡礼者や徒歩で訪れる人々のための休憩施設が用意され、近くにはレストランもあります。
ここへは車で来ることもできるほか、公共のバスも日に数本運行しています。
聖母が出現した場所に建てられた礼拝堂の下には大きな駐車場があるので、そこに車を置いて伝統的な巡礼路の最後の部分を徒歩で辿ることができます。
イタリアのハイキング・クラブでは、さまざまな場所からマドンナ・デッラ・グアルディアの聖域へと向かう6つのルートを紹介しています。

巡礼の方法は人それぞれです。正直なところ、推奨された場所に車を停め、最後の行程を徒歩で辿るだけでも充分と言えるでしょう。なんといっても最後の部分が全体の中でも一番感動的で、なおかつ大変な道のりですから。
かつて、ポルチェベラ渓谷からマドンナ・デッラ・グアルディアまでロバが通っていた道の多くは、その後アスファルトに舗装されました。私が歩いたルートには、イタリアの脇道の多くで見られる赤く塗られた二つの三角形マークが描かれていました。
歩行者専用道路を示す道路標識もあり、特に週末などは混みあう車の往来を避けることができます。


聖域に建つ教会の内部

リヴェッラト(Livellato)という集落にあるサン・ベルナルド(San Bernardo)教会を通り過ぎ、ゆっくりと山の上へと向かうと徐々に目的地に近づいて行きます。最後の1kmほどは特にハードでしたが、前述したように、ここが特に心を揺さぶる行程でした。
福音書の「八福の教え」が彫られた石板が設置されていて、道行く人たちが読めるようになっています。それに加え、ちょうどよい場所に置かれたベンチと渓谷を望む美しい眺めが相まって、心地よく巡礼路を徒歩で辿ることができます。
聖母出現の聖堂の前では、短い時間ですが足を止めました。
聖地に着いた時には少しばかり雨に降られて濡れてしまったけれど、時間はたっぷりあったので、バシリカ式聖堂を訪れたり遅い昼食を食べたりしました。植物の根っこや棒きれ、ヘーゼルナッツの殻、樹皮などの粗末な材料で作られているにもかかわらす、生き生きとして手の込んだ「キリスト降誕」の場面を眺め、大いに感じ入ったのも忘れられません。
この時点で私は、短いながらも濃密だった巡礼の旅に誇りを持ちながら、いま来た道を引き返しました。


聖地の代表的な名産品、バラのシロップ

最後に、この聖地には願いを込めて捧げられたたくさんの奉納物が供えられていることにも触れたいと思います。
マドンナ・デッラ・グアルディアの聖域に奉納されたオブジェは、愛と信仰の証しとして収容され、専用の部屋に集められています。こうした奉納物は人々の営みを想起させるものであり、また聖母マリアの慈悲深い救いのおかげで危機を逃れ、再び喜びを得られたことへの感謝の記憶でもあります。
それぞれの絵やオブジェに物語があり、再びチャンスが与えられた人生へとつながっています。
重い病気や悲劇的な事件、助けを求めて差し出されたいくつもの手にまつわる物語があるのです。
窓辺に飾られた多数の銀のハートやそのほかのオブジェを見ると、さまざまな出来事に思いを馳せずにはいられません。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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