辞書によると、休暇とは「あらゆることから距離を置き、一時的に活動を休止する期間」と定義されています。
簡単に言えば、休暇とは日々のルーティンから離れ、新しい物事と出会えて精神的にプラスとなる場所で過ごす期間を指します。ことに夏休みに限って言えば、リラックスできる時間です。海でも山でも、どこで過ごすのであれ、いつもと違うひとときになることに変わりはありません。
先日、休暇に対する考え方の文化的価値に関する、非常に興味深い記事を読みました。とりわけ夏の間は、休暇中の人々の写真や話題を日常的に見聞きすることになります。そして、誰もが休暇をどこでどのように過ごしているかを他の人に伝えたくなるのです。けれどもこうした行動は、経済的な理由や仕事上の都合、家庭の状況、そして単に休暇が好きか嫌いかなど、様々な理由で休暇を過ごしていない人たちをとても嫌な気分にさせてしまうもの。これもSNSの長所と短所ではないでしょうか。かつての新聞や雑誌が何ページもの紙面を割いて語っていたように、デジタルの世界に描かれた休暇は文化が作り出したものなのです。休暇の文化は19世紀末以前には存在せず、戦後の経済成長に伴って一大現象へと変貌を遂げました。
さて、この話題はこれくらいにしておきましょう。
子どもの頃のこの時期について覚えていることと言えば、学校が再開する前の何とも言えない気持ちです。夏は終わってしまうのは寂しいけれど、クラスメイトにまた会えるのは嬉しいし、少なくとも私は勉強が好きだったので新しい学年が再びスタートする!という興奮が入り混じった感情を抱いたものです。
イタリアは南から北まで20の地域に分けられているので、学校が再開する日は地域によって異なりますが、9月の第一週か第二週に始まります。
9月の第一ないし第二月曜日に学校が始まる地域もあれば、同じく第一か第二水曜日という地域もあります。
通常、保育園や幼稚園は義務教育学校(義務教育の対象年齢は6歳から16歳まで)より1週間早く始まります。
イタリアの学校では、中高生を含むすべての生徒が宿題やテストの日程、先生から親への連絡事項などを記入するための連絡帳を持たされます。
最近ではどのクラスでも電子登録が導入され、親も子も学校からの情報にアクセスできるようになりましたが、イタリアにおける連絡帳の伝統は根強く残っており、もはや文化となっています。
生徒たちは地元の文房具店やスーパーマーケットで熱心に自分の連絡帳を選びます。アニメのキャラからコミック、ブランドものまで、ありとあらゆる種類の連絡帳が揃っていて、年齢に応じて選択肢は無限にあります。シールを貼ったり、自分の考えや学校とは関係のない日記や格言を書いたりして自分流にカスタマイズするのも連絡帳の伝統です。そして学年の終わりには、この1年の思い出の集大成として一生モノのお宝となるわけです。
学校生活で重要なもうひとつの学用品がスクールバッグです。年々、スクールバッグは大きくなっています。なぜなら、子どもたちが持ち歩く教科書の数が増え続けているし、先生の数が増えるに従って本の冊数も増加しているからです。
私が小学生の頃は、ひとりの教師にすべての教科を教わっていましたが、今や7~8名の先生が各教科を担当するので、それぞれの先生に指定された本や学用品を持って行く必要があるのです。
教科書の選定を行うのは文部科学省ですが、教師たちにも意見を言う権利が与えられています。
スクールバッグにはアニメのキャラクターが描かれているものもあるし、色やデザインも様々で、通常、子どもたちが自分の好みで選びます。
子どもたちが運びやすい、機内持ち込み用のキャリーケースのような車輪付きのバッグもあります。