リグーリア地方では、この昼食に野菜だけの、または肉をメインに使ったラヴィオリや、野菜と魚で作るカッポン・マーグロ(Cappon Magro)を用意することが多いです。カッポン・マーグロはリグーリアの食卓では大人気のメニューですが、作るのが大変なのでクリスマスなど特別な機会にしか登場しません。
デザートとしてよく出されるパンドルチェ・ジェノヴェーゼ(pandolce genovese)は、ドライフルーツや砂糖漬けフルーツなどを入れて作るパネトーネの一種です。その他にも、1,000年前から伝わる伝統的なものから最先端のものまで、リグーリア地方のスイーツは洗練された美食家をも唸らせる食文化を誇ります。クリスマス休暇がくると、独創的かつ間違いなく美味しい、古くから伝わるお菓子を再発見するのです。
リグーリアを訪れたなら、スイーツを味わわずして立ち去ることはできませんよ。
それでは、個人的にはぜひとも味わって欲しいと思うけれど、あまりポピュラーではないお菓子をいくつかご紹介しましょう。クリスマスの時期にしか売られたり調理されたりしないので、この時期にぜひ食べてみてください。
ひとつめは、スポンガータ(SpungataまたはSpongata)。円形でフワフワした、表面にたくさん穴があいた不揃いな見た目のこのケーキは、サルザナ地方の名物デザートです。オーブンで焼いて作るシンプルなデザートですが、ドライフルーツと蜂蜜、香料、スパイスを使ったリッチなフィリングが特徴です。昔からの風習で、クリスマスの贈り物として使われることも多いです。
ピニョラータ・ディ・サント・ステーファノ・ダーヴェト(Pinolata di Santo Stefano d'Aveto)は、地元のペストリー店に並ぶ典型的なデザートで、内陸部ならではの、松の実をふんだんに使った逸品です。ピニョラータは食への愛着と伝統が融合した、この地域を象徴する名物になっています。
これは黄金色に焼き上げ、表面を松の実で覆った甘くて丸い形のケーキです。外側はサクサクで、中は柔らかくフワフワしているのが特徴です。
スイートアーモンドとビターアーモンド、卵白、重炭酸塩ひとつまみ、砂糖、松の実、そしてバターで作ります。
丸くてやや平べったい形のアマレッティ・ディ・ガヴェノラ(Amaretti di Gavenola)は蜂蜜のような黄金色をしたアーモンド風味のお菓子です。
私の一番のお気に入りは、何と言ってもオヴィス・モリスのビスケット(Biscotti Ovis Mollis)。特徴的なショートクラスト生地を焼き上げた、美味しいバタービスケットで、伝統的なビスケットのように新鮮な生卵を使うのではなく、固ゆでにした卵黄を細かく砕いて生地に練り込むのが特徴です。茹でた卵黄を使うことで、驚くほど柔らかく、滑らかで絹のようなショートクラストができ、これを焼くと軽くて口の中でとろけるような、ホロホロの美味しいビスケットができあがります。
私はこのビスケットがとても好きなのですが、それはクリスマスに、おばあちゃんたちが孫と一緒にこのビスケットを作るときに話してくれる、こんな素敵な物語があるからです。
ある少女が誤って暖炉の側に卵を置きっぱなしにして、中身が固まってしまいます。しかし、新しい卵を買う余裕がなかったので、女の子はその固ゆで卵を使ってみることにしました。すると、予想以上に素晴らしいレシピが完成したのです。
息子が作ったオヴィス・モリスのビスケット
オヴィス・モリスのビスケットのレシピはこちら。
材料(約40 個分)
小麦粉 300g
バター 200g
砂糖 100g
卵 5個
作り方
まず、卵を8分間茹で、冷まして殻をむきます。固ゆでにした卵黄をブレンダーにかけます。別のボウルにバターと砂糖を入れ、電動泡だて器で混ぜ合わせます。小麦粉と砕いた卵黄も加え、滑らかになるまでよく混ぜたら生地を半等分にし、片方にココアパウダーを加えて滑らかになるまでよく混ぜ合わせます。
それぞれの生地を長方形に伸ばし、これらを重ね合わせて巻いていきます。ロール状になった生地をスライスし、クッキングシートを敷いた天板に並べ、170℃のオーブンで15分ほど焼きます。十分に冷ましてからお召し上がりください。