• 2025.04.07
  • ブログ リグーリア‐もうすぐイースター
私は食べもの関係の記事を書くことが多いのですが、イタリアに行ったことがある人なら、その理由がお分かりいただけることでしょう。
食文化は、この国ではとても大切です。イタリア人は食べることも料理することも大好きですし、とりわけ食事と食事の間にも楽しそうにレシピや調理方法について話しています。
食事は文化であるとともに、社交の場でもあり、緊張をほぐす話題のひとつでもあるのです。
そして、イースター(復活祭)が近づくと、この時期ならではの料理が登場します。

イースター前の40日間は四旬節(レント、イタリア語では「クワレージマ(Quaresima)」)と呼ばれ、ジェノヴァでは伝統に倣って、クワレジマーリ(Quaresimali)というビスケットを買ったり、作ったりする風習があります。これはアーモンドペーストと砂糖、オレンジブロッサムウォーター(オレンジの花びらを水蒸気蒸留した水)、卵白、小麦粉などで作った生地をフォンダン・アイシングで飾り付け、マラスキーノ・リキュールやピスタチオ、レモン、コーヒーなどのフレーバーで味付けしたお菓子です。リグーリア地方の街では今でも、歴史ある様々な製菓店で売られていますし、ジェノヴァなら旧市街にある家族経営の老舗製菓店のものが特に有名です。
クワレジマーリの起源は1500年頃に遡ります。当時、ジェノヴァの丘の上にある修道院の修道女たちが、アーモンドペーストと砂糖だけでお菓子を作ったことから始まりました。カトリックではイースター前の40日間、バターなど動物由来の食材を口にすることが禁じられていたので使わなかったのです。
この製法なら、修道女たちも規律に反することなくお菓子を食べられたというわけです。


ジェノベーゼ・クワレジマーリ

このお菓子のレシピは世代を超えて受け継がれ、多くの家庭でも好んで作られています。フレーバーや使用する材料の割合はそれぞれの家庭によって微妙に異なり、各家庭独自のレシピが存在します。

イースターの時期になると、リグーリア地方特有のお菓子も登場します。それは、取っ手の付いた小さなかごの形をした、カヴァニエット(cavagnetto、リグーリアの方言で「かご」の意味)と呼ばれるもので、中にはゆで卵が丸ごと入っています。内陸部の代表的なイースターのお菓子で、古くからのレシピが世代を超えて伝えられてきました。イースター前夜に作り、子どもたちが教会に持って行って祝福を受け、翌日に家族と一緒に食べるという伝統があったため、昔からイースターを象徴するお菓子として親しまれてきました。リグーリア全域で知られているカネストレッリ(canestrelli)というビスケットと同じ生地を使いますが、カヴァニエットの形はとても特徴的で、他では見られない独特のお菓子です。
このお菓子の成功のカギを握るのはパン種です。そのため、たとえ長時間かかろうとも、作る時間を惜しまないことが大切です。私自身はまだこのお菓子を作ったことはありませんが、地元のベーカリーで購入して楽しんでいます。

ホイップクリームを詰めたカボリーニ(cavolini)は、リグーリアの郷土菓子の至宝ともいうべき存在です。食事の締めくくりやおやつにぴったりの一品で、デリケートで洗練された味わいが特徴です。シンプルでありながら癖になる風味のために愛されていて、リグーリア地方の焼き菓子の伝統に深く根ざしています。
カボリーニとは、小さなシュークリームを指します。フランス生まれのシュー生地は軽くて様々なお菓子に使われていますが、カボリーニはイタリアのレシピや菓子店においては特別な位置づけにあります。柔らかくて軽いホイップクリームを詰めたリグーリアのカボリーニは、甘さと軽さとの絶妙なバランスを生み出す銘菓です。

【カボリーニの材料】
精白した小麦粉 100g
水 100g
バター 100g
卵 2個
砂糖 30g
泡立てたクリーム

【作り方】
水にバターと砂糖を加えて火にかけ、沸騰したら火から下ろして小麦粉を加えます。
よく混ぜ合わせたら再び火にかけ、生地が鍋肌にくっつかなくなるまで、たえずかき回します。
生地の粗熱が取れたら、卵を1つずつ加え、よく混ぜ合わせます。
バターを塗った天板の上に、混ぜ合わせた生地を小さじ1杯分ずつ落として並べます。
中火のオーブンで20分ほど焼きます。
生地を半分にカットして、中に泡立てたクリームを詰めます。最後にグラニュー糖を全体に振りかけたら出来上がりです。


リグーリア風カボリーニ

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

パトリツィア・ マルゲリータの記事一覧を見る

最新記事

おすすめ記事

リポーター

最新記事

おすすめ記事

PAGE TOP