• 2025.07.10
  • ブログ リグーリア‐(ほぼ)秘密のレシピ
リグーリア地方は海に面しているにもかかわらず、その料理は、アンチョビペーストやいくつかの魚介料理を除けば、主に陸の食材を使ったものが中心です。
そのため、塩味の野菜のパイは、菜園で豊富に収穫できるために時に単調になりがちな食材を最大限に活用するのにぴったりの方法です。
リグーリア地方のセイボリーパイ(甘くない食事パイ)には、共通する特徴があります。生地は好みに合わせて厚めにも薄めにも伸ばせるパフ・ペストリー(折り込みパイ生地)を使用し、お好みで表面にエクストラヴァージン・オリーブオイルを塗ります。具材を包むために生地は柔らかめにし、中にはハーブやチャード、ズッキーニ、カボチャ、インゲンマメなどの地元の代表的な野菜を使ったフィリングを入れます。
米もよく使われる食材です。プレシンセウア(prescinsêua)というチーズなどの新鮮な乳製品と一緒に、あるいはその代用品として、パイのフィリングに使用されます。
風味を増すためには、マジョラムやタイム、バジルといったハーブ類は常に欠かせません。
パルメザンやペコリーノといったチーズを上に散らすこともあります。

リグーリアは小さな地域ですが、新たなレシピに出会うたびに、この土地に非常に長く豊かな食文化の歴史があることを実感します。
特に印象的なのは、ジェノヴァ市内でさえエリアごとにレシピが異なっていたり、同じ大都市圏内でも初めて耳にするような新しいレシピに出会えたりすることです。
バチョッカ(baciocca)というタマネギのパイも、このケースに当てはまります。年中食されるセイボリーパイで、材料は好みのものを使用しますが、タマネギとジャガイモは必ず入っています(タマネギとジャガイモだけでも問題ありません。その他の材料はあくまで「おまけ」なのです)。
バチョッカは、パイ生地にジャガイモとタマネギで作ったフィリングを入れた料理です。私はこれまでに、タマネギを加熱するバージョンと生のまま使うバージョンの2種類の方法で作ってきました。タマネギの強い風味が苦手なため、個人的には加熱したバージョンの方が好きですが、伝統的な作り方では生のタマネギを使うそうです。
生地を作るのに必要な材料は、小麦粉、油、塩と水だけです。
この生地を使えば、リグーリアのすべてのセイボリーパイを作ることができます。

最近私が知ったレシピに、セストリ・ポネンテ(Sestri Ponente)地区特有と思われるパイがあります。かつては海岸沿いの村でしたが、現在ではジェノヴァ市に統合されています。
このパイの調理法は非常にシンプルで、素早くできるのにとてもおいしいのです。カボチャを中心とした材料はごくわずかで、あっという間に完成します。
ヘルシーで繊細な味わいがあり、彩りもよく、独創的で意外性もあります。カボチャのファリナータ(farinata di zucca)と呼ばれるこのパイは、美味なのにほとんど知られていない、昔から伝わる料理です。セストリ・ポネンテとペーリ(Pegli)、プラ(Pra’)、ボルトリ(Voltri)といった村々で生まれたこのパイは、有名なひよこ豆のファリナータとは全くの別物で、野菜パンやカボチャのパイとも異なります。小麦粉と水、塩で作った生地にオレガノを乗せた生のカボチャとチーズのフィリングを詰め、浅めの平鍋に入れてオーブンで調理した、典型的な郷土料理です。軽めのランチにも最高ですし、前菜にも打ってつけのカボチャのファリナータは、今なお息づくジェノヴァの隠れた食文化の香りを伝える、いわば「食の絵葉書」のような一品です。


カボチャのファリナータ

最後に、ジェノヴァならではのセイボリーパイ、トルタ・カプチーナ(Torta Cappuccina)も忘れるわけにはいきません。ショートクラスト生地に生のチャードとジェノヴァ産のプレシンセウアというチーズのフィリングを詰めたもので、この地方の方言でトルタ・ディ・ジー(turta de gee)と呼ばれるこの素朴なパイは、少ない材料で手早く作ることができるのに、味は格別です。生地を作るには、小麦粉と油、水を混ぜ合わせて数分間こね、弾力が出てまとまるまで寝かせます。時間がない場合はパフペストリー(折りパイ生地)で代用することもできます。フィリングには、生のチャードなど風味のよいハーブ類とプレシンセウアを使用します。ただし、このチーズはジェノヴァ特有のもので、イタリアのほかの地域で見つけるのは難しく、ましてや国外ではまず入手不可能です。代わりに、手軽に入手できるリコッタ・チーズにプレーン・ヨーグルトを数スプーン加えたものを使用することもできます。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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