村を見下ろす丘の上に立ち、海岸と陸地の見事なパノラマを楽しめるのが、モンテ・ウルシノ城(Monte Ursino)です。12世紀に建てられたこの城は、良好な保存状態で中世の軍事建築を今に伝える貴重な存在です。
戦略的な位置に築かれたこの城からは周囲の領土を見渡すことができ、堅固な城壁と望楼によって敵の攻撃から村を守っていました。城壁の内側には、かつて兵士や城の住民たちが使っていた建物や構造物が残されています。中世には、この城が数多くの歴史的な出来事や戦いの舞台となりました。
現在、モンテ・ウルシノ城は一般に公開されており、ノーリを訪れる人の必見スポットとなっています。遺構を見学して景色を堪能するだけでなく、お城や中世の村にまつわる物語を紹介してくれるガイド付きツアーに参加することもできます。しかし、ここを訪れる一番の醍醐味は、村の中心から山頂までのハイキングです。周辺の森を散策しながら、海岸の素晴らしい眺めを楽しむことができます。

11世紀に建てられたノーリのロマネスク様式の教会も、この村の名所の一つに数えられています。教会の中に入ると、歴史があり芸術的価値の高いフレスコ画や美術品に出会うことができます。
それだけではありません。ノーリには、この村の特徴でもある4つの中世の塔が建っています。なかでも最も高いトッレ・デイ・クアトロ・カンティ(Torre dei Quattro Canti)は、中世のこの町の権力と重要性を象徴する建物です。
13世紀に建てられたこの塔は、村の四つ角(イタリア語でQuattro Canti)を見下ろしていることから、この名が付けられました。
その巨大で頑強な構造は、防衛にも監視にも威力を発揮しました。塔の上からは、村やリグーリア海岸地域を一望することができます。中世には、この塔が村に接近する敵を発見するのに大いに役立っていました。

現在、この塔はノーリの観光名所の一つとなり、この村の歴史と中世建築を今に伝えています。塔の内部に立ち入ることもでき、頂上からは息を呑むような絶景を楽しみながら、ノーリの歴史的な雰囲気に身も心も浸ることができます。
サン・パラゴリオ大聖堂(Cathedral of San Paragorio)は、ノーリが誇る建築の至宝の一つであり、リグーリア地方のロマネスク様式を代表する重要な建築例です。この大聖堂は、キリスト教の殉教者、聖パラゴリオに捧げて11世紀に建てられたもので、その力強い構造と内部の装飾は、中世においてこの村が宗教的にも文化的にも重要な存在であったことを物語っています。
大聖堂のシンプルながら優美なファサードは、美しく装飾された門と、一連のブラインド・アーチ(装飾用の開口部のないアーチ)によって彩られています。建物内には、丸いアーチを頂く石柱で仕切られた3つの身廊があり、天井はロマネスク様式の教会によく見られる木製のトラス構造となっています。

最後に、ノーリといえば忘れてはならないのが、私がこれまでに味わった中で最も美味しいアイスクリーム店があり、大変評判の良いアイスクリーム職人がいることです。この有名なお店には、30種類以上の自家製アイスクリームが並び、キノット(リグーリア地方の柑橘類)味や、バラとラベンダー味、カスタニャッチョ(castagnaccio、桑の実と栗を使ったリグーリアの郷土菓子)味など、リグーリアの特産品を生かしたフレーバーも楽しむことができます。
