• 2016.04.19
  • ラスト・サーズデイ
ラスト・サーズデイは、地域の支援によって規模を拡大してきたポートランド名物の街のお祭り。アーティストや露店商、ミュージシャン、路上パフォーマーから見物客まで、あらゆる人々が 無料で楽しめるイベントです。誰でもこのユニークなイベントの盛り上げ役になれますし、特に資格や許可を得なくても、物品の販売、パフォーマンス、歌やダンスを行うことができます。
その名の通り、ラスト・サーズデイが開催されるのは毎月最終木曜日です。1年中やっているラスト・サーズデイですが、通りが歩行者天国となってフェスティバルが最高に盛り上がるのは、5月から9月までの真夏のシーズン。この期間は、街頭パレードからコンサート、アクロバティックなパフォーマンス、果てはひたすらヘンテコな数々のショーなどが、ポートランド東部にあるアルバータ通りを賑わせるのです。

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アルバータ通りで即興芸を披露する路上パフォーマーたち

ラスト・サーズデイは、イベント自体がアートと創造性によって成り立っているため、アートウォークの1つに分類されます。訪れた人々は、アルバータ通り(フェスティバルの開催地)をそれこそ行ったり来たりしながら、手作りグッズを物色したり、路上パフォーマンスを見物したりします。何があっても不思議じゃない、それがラスト・サーズデイの面白さ! これまでに私も、“妖精たち”の火の玉ジャグリング、ネイティブアメリカン集団が踊る雨乞いのダンス、10代の子供たちによる一輪車の競争などを見たことがあります。

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ラスト・サーズデイの1日は、誰でもアーティストになれる

                                       ラスト・サーズデイともなると、通り沿いでは深夜遅くまで営業しているお店、とりわけレストランやギャラリーを見かけますが、その目的は主に、ポートランダーたちが集うための時間を提供し、彼らが芸術的な面を表現できる場を与えることにあります。
今までのところ、アルバータで行われるこのフェスティバルは、私にとってポートランドでの一番のお気に入りです。なぜなら、地域の人たちと一緒に外の空気を楽しみながら、服や独創的なパフォーマンス、手作りのグッズ販売などを通じて個人のスタイルや芸術的な才能も表現しているところが、まさにこの街の本質そのものだと思うからです。
アルバータは、人とビジネスを一緒にストリートに導いた成功例とも言えるエリアです。恒例のブロックパーティ(近所で行う野外パーティ)という捉え方や、ファミリー向けのイベントとしての趣きも大いにありますが、ラスト・サーズデイの存在意義はそれだけではありません。ラスト・サーズデイで展示した作品によって「発掘」された結果、その作者である地域在住のアーティストたちには、アート色の強い通りに立ち並ぶアルバータのギャラリーからオファーがかかることもあるのです。アルバータ通りの名だたるギャラリーは、地域の作家の作品しか扱わないことを矜持としながら、才能と独創性が認められれば誰でも一夜で人気アーティストになれることを実証しているのです。

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アルバータ通りのギャラリーに展示された地域のアート作品

アルバータの文化的アイデンティティを体現しているラスト・サーズデイは、あらゆるバックグラウンドと民族性を持つ大勢の人々が一堂に会し、多様性と寛容性を祝福し合うパーティでもあります。どんな年齢層も歓迎のこのお祭りでは、子供たちのための即興アクティビティも豊富で、妖精やアドリブの道化師などに出くわすこともあります。

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イベントは子供たちにも大人気
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アルバータ通りのウォールアート

    いわゆる「9時から5時まで」の定職を持つ人には、創造的才能を発揮する月に一度のチャンスとばかり、手作りのジュエリーや折り紙、服やオーナメントなどをフェスティバルで販売する人たちもたくさんいます。私が見たことのある範囲でも、スクラブルのピースで出来たネックレス、ジャケットをリサイクルしたスカート、消火器をはじめ使用済みの品々を集めて作ったオーナメントなど、ユニークな作品が売られていました。ラスト・サーズデイではお手製のスイーツやケーキを買うこともできます(ご購入は自己責任で!)。

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使用済みの消火器で作ったアート作品たち



特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳者、編集者、教師

米国とイタリアに住んでおり、両国に深いルーツを持っています。広く世界を旅する中、日本で4ヶ月を過ごし、桜とたこ焼きに恋をしました。現在、世界中の友人からレシピを集め、料理の本を編集しています。

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