• 2021.12.17
  • ドメスティックバイオレンス
今住んでいるマンションのエレベーター内には住民へのお知らせの手紙を貼るスベースがあります。先日は新しいお知らせがありました。その内容は、サンパウロ州知事がサンパルロ州で住民に暴力事件の報告を義務付ける法律(法律第17.406/2021)を認可した。暴力事件が発生して24時間以内に警察または女性防衛警察署に知らせる事です。
この内容を読んで、「法律」にしなければ周りの人は報告しないのかな。と、ふと思ったと同時に、やはり被害者は自分から警察に行くのは難しいのかな。とも思い、でも被害者は悪くはない。などとエレベーター内で思ってました。


家庭内での暴力の事をドメスティックバイオレンスと言います。
Instituto de Datafolha (ダタフォリャ調査所)がブラジルの公安フォラムに依頼されて調査した結果、2021年6月7日に発表されたデータでは、16歳以上のブラジル人女性で、4人に1人は身体的、精神的、または性的な暴力を受けてたとのことです。それは1,700万人(24,4%)の女性に相当します。一年前の調査では加害者のほとんどは配偶者や恋人で、第2位に隣人でしたが、今回の新たな調査では第2位に隣人ではなく、元配偶者、元恋人であり、次に父親、母親、兄弟、継父、継母の順でした。ドメスティックバイオレンスとは配偶者や恋人の暴力というイメージですが、家族内での暴力とは心配が増すばかりです。調査の結果、被害者の35%は別れたまたは離婚した人であり、28%は黒人で16歳から24歳の年齢層が多いとのことです。
パンデミックで家族内で家にこもっている為、このような結果が出たと思われてます。また、この調査結果の割には被害届が減っていて、加害者と被害者が共に過ごす時間が多くなったことで、被害者が警察に報告するのが困難であると考えられてます。
実は既に2020年の6月には国家司法審議会(CNJ)とブラジル判事治安協会(AMB)が、ドメスティックバイオレンスに対する「赤色のサイン」のキャンペーンを開始してます。被害者である女性が口紅や赤ペンでバツマークを手のひらまたは紙に書いて、銀行、薬局、市役所などの従業員に見せるだけで良いのです。そのマークを見せられた者は直ちに警察を呼び、被害者を守る手段をとるのです。このキャンペーンには化粧品会社や美容院なども参加してます。チラシやポスタ―には手のひらに書かれた赤色のバツマークを見せる女性の写真に、「あなたは一人ではない」とメッセージが書かれてます。
女性が何らかの暴力を受けても直ぐに逃げたり、警察に助けを求めることができない理由として、逃げたらもっと怖い目にあうかもしれない、経済的に自立できない、まだ愛情が残っている、自分の権利がわからない、どこへ助けを求めたら良いのかわからない。などがあげられてます。ポスターに書かれている、「あなたは一人ではない」というメッセージが一人でも多くの被害者に届く事を祈ります。 そして、警察に被害者を守って欲しいと願います。

特派員

  • 皆木サンドラ 奈美
  • 職業語学教師、ペーパートールクラフター

ブラジル生まれのブラジル育ち。大学卒業後、夫の仕事の関係で3年間滞在したシンガポールにおいて習得したペーパートール(=シャドーボックス)や語学を教えています。多国の文化や習慣を上手に混在させているサンパウロでの生活がとても気に入っています。

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