• 2020.11.11
  • Dia de Todos os Santos の悲劇
現在ポルトガルでは、新型コロナ感染者数が日々増加の傾向にある。なんと一日3,000人弱も感染者が発生してる。もちろんフランスなどでは感染者数30,000人以上なので、ポルトガルは一桁少ないが、それでも人口を考えると、深刻な数字である。
ポルトガル政府は、このことを踏まえ、10月15日から現行の「非常事態宣言」を「災害事態宣言」に引き上げる旨を発表した。それは、公道及び商業施設、レストラン等での集まりを5人までに制限、結婚式や洗礼式等家族行事においては、最大50名までの参加。公道及び商業施設における衛生への取り組みに関する取り締まりの強化など。
そして更に22日には、10月30日から11月3日の5日間、ポルトガル全土の市民および滞在者に対し、市の境界線を越えた移動を禁止することを決定した。
11月1日の Dia de Todos os Santos の祝日の外出・イベントを制限するのが目的である。

Dia de Todos os Santos(日本語では、諸聖人の日)は、カトリック教会(ヨーロッパ)諸国共通した祝日であり、聖人を記念する日、及び「死者の日」である。
ケルトの「Hallow eve」から北アメリカに渡って、それがハロウィーンになったらしい。

265年前のこの日、ポルトガル史に刻まれる大悲劇が起こった。
1755年11月1日、マグニチュード8強の大震災がリスボンの街を襲った。地震に続き、3回の津波がテージョ川から押し寄せ、最後火災によって街が崩壊した。聖人や死者に祈りを捧げるため、教会だけでなく、家庭でも灯されたロウソクの火が災いを生み、リスボンの街の85%が焼け野原だったと言う。そして、275,000人の死者を出し、なんとも不吉な日となった。

このこともあって、Dia de Todos os Santos の日は、重要な祝日となっている。ここ数年で、アメリカの影響によるハロウィーン(仮装)色が強くなったが、未だにミサもあるし、亡くなった家族に花を添えるため、墓地は華やかになる。

私の住む村は、コロナ禍で、今年はどうなるのか?
ヴァチカンでは、イースターに続きクリスマスでも、教皇フランシスコによる通常のミサは中止されたので、村の教会でのDia de Todos os Santos のミサもキャンセルされるのかしら?
もしもお菓子をもらいに来る子供達がいるとしたら、今年はコロナ対策として、医療関係者、シーツに覆われたゴーストか、全身タイツ系のスケルトンのコスチュームが賢い選択といえよう。


<リスボン・カルモ修道院>
リスボン大地震で崩壊したまま、遺跡として残されている。

特派員

  • 太田めぐみ
  • 職業修復士、通訳、コーディネーター/Insitu(修復)、Kaminari-sama、ノバジカ、他

ポルトガル在住の保存修復士。主に、絵画(壁画)や金箔装飾を専門にし、ユネスコ世界遺産建築物や大統領邸の内部を手がける。シルバーコースト近くの村で、地域に根付いた田舎暮らしを満喫している。趣味は、土いじり。

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