• 2018.04.26
  • スコットランドの伝統的ダンスについて
伝統的なスコティッシュダンスは、ペアやグループを組んだ踊り手たちが、振付けに従って決められたパターンを続ける社交ダンスです。一般的なフォークダンスの一種のように思われがちですが、ルネッサンス時代の豊かな社会の中で生まれたダンスです。18世紀頃には知名度を確立したこのスタイルは、コントルダンスなどのイギリスの伝統的なダンスの原型や一連のアイリッシュダンスの流れを組むもの。伝統的スコティッシュダンスは、そのダンスで使う音楽によって、リール、ジグ、ストラスペイといった種類に分けられます。リールとジグの二つ(ファストダンスとも呼ばれます)は、スピードの速さとダイナミックな動きが特徴。ストラスペイは、速度も緩やかで、ゆったりと落ち着いたリズムで踊るダンスです。
ケルティック・ケイリーダンスは、親族のパーティとか、会合・社交の場で、集団で踊るダンスです。一区切りは短く(通常は16拍)、振付けにも繰り返しが多いダンスなので、すぐに覚えていろんなパートナーと踊れるようになります。 この手のダンスがまったく初めてのビギナーでも、ダイナミックで愉快な踊りの輪の中に気軽に飛び込んで楽しめるのが、ケイリーダンスの素晴らしいところでしょう。
スコティッシュ・ケイリーは、音楽、ダンス、料理、娯楽の数々といった国民文化のシーンにおいて、きわめて祝祭的な意味合いが強いもの。ケイリーのイベントには誰でも参加できます。ダンスが始まる前にステップの説明があるので、伝統的なダンスの知識もいりません。苦もなくマスターできますから、始まったとたんにダンスフロアで我を忘れて踊るなんていう素敵な体験ができます。 ヨーロッパで最も美しい土地と言われるスコットランドには、文化的アイデンティティの生き証人として、今でもゲール語を話す人々がいます。そんな風潮や、毎年開催され、古代の氏族間の戦いの名残を今に伝える総合競技大会のハイランドゲームズの影響もあって、ハイランドダンスがスコットランドを代表するダンスの真打ちといった位置付けにあるのは、ごく自然なことかもしれません。 ハイランドダンスは、競技に特化したダンスです。4ステップから6ステップで構成され、ダンサーは爪先で跳ねながら踊ります。それぞれに意味を持った腕の動きや手拍子などは、一般的なアイリッシュ・ステップダンスでは見られません。ギリーと呼ばれる靴とキルトを身に着け、スコットランドのバグパイプの音色に合わせて踊るのが特徴です。
一方ハイランドリールは、4人のダンサーで踊る群舞ですが、大会ではダンサーごとに評価が行われるため、ソロ競技という扱いになります。スコットランドの土地ごとに異なる音楽の中、静かな舞いからスタートしたダンサーが、やがてペースを上げつつ踊っていくのが見もののダンスです。
古いもので言えば、1500年代、スコットランドの部族の長が敵を打ち負かした際に刀の上で踊ったというスウォードダンスがあります。この「勝利の舞い」を伝統として受け継いだハイランド地方の兵士たちは、刀に触れずに1曲踊り切れたら縁起が良いと信じ、いつしか戦の前後にこれを踊るようになりました。
ケイリーの祝祭は、今では各地で行われています。ただ友達と出かけたり、昔ながらの大規模なフェスティバルに行ったり、その楽しみ方も人それぞれ。
もともと「ケイリー」とは、集まった人たちで音楽や朗読、ダンスなどの気軽な娯楽に興ずることを指す言葉でしたが、現在、ケイリーの主な要素はほぼダンスということになっています。フランスのカドリーユのように、誰でも加わろうという気持ちになれるダンスなので、婚礼や誕生日パーティのようなイベントには打ってつけ。でも実際には、どんな理由でもイベントが成立してしまいます。
ケイリーのオーケストラは、スコットランド伝統の楽器を一式取りそろえ、エネルギッシュなダンスからスローなワルツまで、一夜のうちに様々なダンス音楽を演奏します。イベントの趣旨によってはバグパイプの出番もあり。オーケストラが踊り手にステップを思い出させることもよくあります。ここで改めて。事前に振り付けを知っている必要はないのです!
強い団結力はスコットランドのフォークダンスの身上であり、力強さと一体感を求める心を伝えます。バグパイプの音色に乗せて、複雑なステップとケイリーによって古代部族の雰囲気がよみがえります。
移民の歴史の中で、これらのダンスはフランスやアメリカなど外国にも伝わりました。ハイランドダンスのステップが、スコティッシュ・オフィシャルボード・オブ・ハイランドダンシングに、カントリー・スコティッシュダンスのステップがロイヤルスコティッシュ・カントリーダンス・ソサエティに、それぞれ体系的に組み込まれていることも、単なる偶然の一致ではなく、歴史の必然があったのですね。








ダンスはあらゆるスコットランドのイベントの一部

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 年齢酉年(とり)
  • 性別
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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