• 2018.09.03
  • 光あれ!
カナダには“Our past illuminates our future(過去が未来を照らし出す)”という成句があります。そして、この言葉を最大限に具現化したショーが、カナダの首都オタワで見られるパーラメント・ヒルのライトショーです。
毎年恒例のこのショーは、1916年2月に火事で焼失した旧議事堂を偲んで行われるイベントで、「ノーザン・ライツ」とも呼ばれています。
現在の新バージョンのショーが発表されたのが2015年のこと。
カナダという国が歩んできたストーリーを音と光で紡ぐ30分のショーでは、見事な光のスペクタクル、圧巻のプロジェクション画像、言葉と音楽を融合した豊かな世界観を堪能できます。 夏の夜にオタワで行われる光と音のショーは、過去25年に亘って人々の注目を集め続けています。昨年の夏、最新版のショーが動員記録を更新し、100万人を超える人々がこれを見るために集まったと報じられました。夏の夜のカナダの首都圏において、このショーはまさに必見のイベント、最高の催しとなっているのです。
ショーの上演は一回限りではなく、パーラメント・ヒルに隣接するスペースで7月から9月までの2か月間にわたって行われるので、オタワを訪れる(または住んでいる)人なら一度は本物を見るチャンスに恵まれるかも。
無料で二か国語対応(カナダの公用語が英語とフランス語の二つというのはご存知ですよね)、音と光の効果の融合を堪能しながらテーマに沿ってカナダ史をたどるエキサイティングな旅、連邦議事堂ビルの見事な細部の意匠を生かした演出の数々。20台近い数のプロジェクターが連動して、見る者に新鮮な映像体験をもたらすHD画像が、中央ビルの正面ファサードに途切れることなく映し出されます。
今年は物語がテーマに沿った5冊の「本」(国の成り立ち、連帯が生み出す力、発見と探求、勇気、プライドとビジョン)の形で展開されています。
ショーが始まるのは、毎晩、日が暮れてから。
政府の本拠地であるだけでなく、恵まれた設備の中で様々なアクティビティが行われるパーラメント・ヒルは、文化施設やコミュニティセンターとしても大活躍しています。例えばヨガ。夏の間、毎週水曜日のランチタイムにはヨガマットを抱えたヨガパンツ姿の人々が数百人集まって、街のシンボルであるビル群の前でストレッチをする情景が見られたりします。
歴史あるピース・タワーに上って360度見渡せる街のパノラマを楽しむのもいいし、衛兵交代式を見物してからビル内のガイド付きのツアーに参加するというルートも一考の価値あり。 時計台の最上階までエレベーターで行けるので、ここから景色を眺めるとしたら、夜の光と音と色彩のショーは最高の見ものになると思います。また、議事堂前の広々とした芝生に腰を下ろし、真っ暗な闇の中で夜の冷気を感じながら見上げるショーも、また素敵な思い出になるでしょう。
ショーのバックに流れる英語とフランス語のナレーションは、光のマジックの効果と歩調を合わせながらカナダの歴史のハイライトを物語ります。
パーラメント・ヒルは、無数にあるオンタリオ州の都市やコミュニティの創造的精神、プライド、優れた食文化、ワインづくりなどを、一年を通じて大いに称える場でもあります。オンタリオ州はさらに、良質な音楽フェスティバルを数多く開催しています。州内のあちらこちらで行われる音楽フェスティバルには才能豊かな大物アーティストが招聘され、地元のアーティストによる多彩なライブ演奏で会場は大いに盛り上がります。真夏の夜の光の祭典、春の甘いメープルシロップ製品、秋になればワインとブルーベリーの収穫祭、冬にはウィンタースポーツが楽しめるオンタリオ州。ここに来れば豪華な光のショーの他にも、一年中いつだって感動的な営みが体験できるのです。









特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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