• 2019.01.10
  • 交易都市オタワの名物、カナダ最大のマーケット
「オタワ」という都市名はフランス語でも英語でもありません。その語源は長い間カナダの南部に住んでいた先住民のウタウエ族(Outaouais)で、字義的には「交易人」の指すのだとか。何を隠そうウタウエ川も、オンタリオ州中心部の保護地域に今も暮らすウタウエ族の先祖に敬意を表して名付けられたのです。


昔から交易都市として栄えてきたオタワ市の自慢の一つが、カナダ最古にして最大のテント式農産物市場、その名もバイワード・マーケットです。

同名のビル内で営業しているバイワード・マーケットは、オタワ市にとって重要な位置づけにあります。つい先日も、この地域一帯の呼び名をバイワードに統一することが自治体によって決定しました。
オタワのリドー運河の建築業者が、ジョージ・ストリートとヨーク・ストリートの間に青空市場を建てたいとオタワ市に申し出たのは19世紀末のこと。しかし、農家など地元の生産者たちの荷物の輸送手段であった馬車の収容まで考慮すると、市場は相当な広さが必要でした。それから数百年後の現在、バイワード・マーケットはオタワで屈指の賑わいを誇る魅力的なスポットとなっています。



かつては市場以外に何もないエリアでしたが、この頃ではとても人気があるのでこのあたりの生活費は高騰し、魅力的なナイトライフが充実しているためオタワでイケてる地域としても一目置かれています。
バイワード・マーケットと言えば、オーガニックな食材やグルメフードの宝庫です。ランチや軽い食事、ビールまで楽しめて、夜には街一番の活気ある風景が見られます。
花、新鮮な果物や野菜、地元の名産品を売っているのはカナダに限らずよくある農産物市場と同じですが、工芸品やお土産物、コーヒーショップ、レストラン、アイスクリームパーラー、さらにはブティックまであるのがバイワード・マーケットの特徴です。メープルシロップ製品を探すならここを見逃す手はありません。私が知る限り、他のどこよりも安い値段で上質なものが手に入ります。(スーパーの棚で見かけるコーンシロップや砂糖が主成分のナンチャッテ商品ではなく、本物の)メープルシロップは、このマーケットの開設当初から売っている、いわば看板商品なのです。
商品に思い入れのある店主にあたると、売っているメープルシロップの秘話や製造方法などの説明をじっくり聞かせてくれるかも。
数年前、当地を訪問した際にオバマ氏がクッキーを買いに寄ったという可愛らしいベーカリーカフェ兼ビストロもあります。アメリカの前大統領への敬意を込めて焼き上げるこの「オバマクッキー」、気になる人はぜひお試しあれ。
テイクアウトの軽食では、いろんな屋台で売っているビーバーズ・テイルがイチ押しです。甘いタイプが基本ですが、塩味のフレーバーもあり。シナモン、砂糖とレモン、チョコレート、バナナ、アップルシナモン、果てはガーリックバターやチーズなど、トッピングはより取り見取りです。ビーバーズ・テイルは甘いフレーバーが本来の姿ですから、私自身は最初に挙げた2種類のトッピングがお気に入りです。



マーケットは年中無休で、ほとんどの目抜き通りにはひと目でわかる黄色のベストを着た人たちが常駐しています。マーケットのお目当ての店や場所の情報や行き方は、彼らに聞けば教えてくれます(場内はなんといっても広いですからね!)
マーケットまでのアクセスは、場外を取り囲む川沿いの歩道を歩くのもよし、より短時間で行くなら自転車もおすすめです。冬になると運河の水路が世界で最大のアイススケートリンクに様変わりして、隠れた魅力が露わになります。しかも入場無料ですから、家族連れのお出かけ先としても言うことなしの人気スポットなのです。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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