• 2019.01.23
  • ブルブルブル…お外は寒いよ、ベイビー!
毎年冬になると、氷や雪で作った美しいオブジェが登場する冬の祭典が世界各地で開催されます。それらの祭典について書かれたものを読んだことがありますが、日本の札幌にも有名なお祭があるそうですね。

氷や雪で作ったオブジェはどれも壊れやすく短命ですが、だからこそ人々は、その見事な美しさにより一層魅せられるのでしょう。

今いるカナダでも冬ごとに多くの氷の祭典が行われていることは、実はつい最近知ったばかり。先週の土曜日の朝、一緒に行こうと声をかけてくれた親切な女友達と連れ立って、セント・メアリー湖の氷の彫像の祭典に行ってきたばかりです。最初のうちこそ、他になにもないところで氷の塊を一日中眺めて過ごすなんて退屈なんじゃないの?なんて思っていましたが…その予感は見事に外れました。素晴らしかったです!
この野外フェスティバルは、わずか3日足らずの短い間に12名の参加アーティストたちが15個の氷塊でオブジェを制作し、その美しさを競い合うというものです。

初めてセント・メアリー湖周辺を訪れた私は、友人の案内で凍った滝の見事な眺めを見ることができました。時々ここで氷の滝のぼりを行うクライマーも出現するとのことですが、この日は雪崩注意報が出ており、祭典の会場に近い場所でもあることから、極限スポーツは控えようとの判断があったのだと思います。

私たちが到着したのは午前も遅めの時間帯で、会場はすでに準備完了状態のボランティアの人たちでいっぱいでした。まずは雪靴に履き替えて、お約束の「丘の上から写真を撮る」ミッションを遂行しました!

氷の彫像の祭典の主役は、氷だけではありません。彫像のショーと同時並行で、救助犬によるデモンストレーション、非常事態下の火起こしを教わるワークショップ、避難シェルターの建設ノウハウなどの他、動物の足跡の見分け方、積雪層やイグルー(カナダ式かまくら)の設営術などを学べる講座など、とにかく盛りだくさんのイベントが行われています。

氷を素材として美しい彫像を制作することは、当地では最近のトレンドではなく、先住民族であるイヌイットの文化が起源となっています。
氷の彫刻というアートの形態は、古代のロシアが発祥の地であると思われます。寒冷な土地柄、たやすく手に入った氷という素材が、芸術分野においても活用されたわけですね。やがて世界中に広まった氷の彫刻。この従来の形にとらわれない芸術様式を取り入れた氷の祭典は、今では中国からイギリスに至る世界各地で数多く開催されています。

氷を使った彫刻は、高度で精緻な技術が必要な作業。石に比べて氷は格段に扱いやすいとは言うものの、高い集中力を注ぎ込みながら立体を完成していく芸術です。ニュアンスを添える効果が高いスプレー式塗料でオブジェの一部をペイントするアーティストもいますが、大半の作品は、自然のままの氷を使って制作されています。


毎年カナダで行われているこれらのイベントは、雪でできた斬新なアートに心を奪われた観光客で賑わいます。それぞれのフェスティバルには、世界中から多くのアーティストのグループが集まってきます。アーティストたちは水、有刺鉄線、のこぎり、パレットを手に、それぞれが唯一無二の彫像を創造すべく氷の塊に挑みます。それらのオブジェは、外気の温度が緩んで溶けてしまう春までの間(天候と気温が許せば)、その姿をとどめたまま展示され続けることも。私が見た祭典では常にテーマが自由なので、参加アーティストたちは自分が好きな方法で創造性を発揮することができます。

彼らに与えられた制作作業の時間は3日間。その後、イベントに集まった地域住民や観光客による作品の審査が行われました。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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