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  • 2019.03.25
  • カナダ対USA?
「多くの点で連帯しているアメリカとカナダであるが、言語による2つの国の隔たりは変わらない。」かのオスカー・ワイルドによる皮肉に満ちた指摘は、現在でも通用するもののようです。当時のワイルドの念頭にあったのはイギリスとアメリカのそれぞれの特性ですが、今、アメリカとカナダに対して同じことが言えると思います。
隣り合った2国で似た者同士と思われがちですが、カナダとアメリカには多くの違いがあります。
無料の健康保険制度や労働組合、公立学校があるカナダに対し、アメリカは基本的に民間の機関によって成り立っている国家です。
カナダの都市とアメリカの都市は、非常に似ているように見えるかもしれません。際立って幅広い多民族性、高度に発達した輸送インフラ、社会経済レベルの高さ、都市郊外エリアの広大さなどは両者に共通するものですが、それらの特徴をよくよく観察してみると対照的な要素も多く、それぞれの都市景観の違いが浮き彫りになってくるのがアメリカとカナダの面白いところです。



そのひとつは、都市開発の相違点。アメリカの主要都市はカナダの都市に比べると、周辺の郊外住宅地が広い傾向が見られます。
最近人口が増加した小都市も見られますが、それはアメリカの都市部が拡大したことによってもたらされたものです。
それとは対照的に、領土拡張後の人口統計データ管理のもとでは、カナダの人口密集都市の人口の激増はほとんどの場合、都心部から始まっていました。

アメリカとカナダの人口構成変動の激しさにこれほど差があるのは、それぞれの国の都市開発問題に対するアプローチが異なるから。自動車利用率が高いことが際立った特徴であるアメリカの大都市圏に対して、カナダの大都市では公共の交通機関や歩行による移動が中心という考え方です。
総延長距離にして400万マイルもの道路を有し、複雑さにかけては世界トップレベルの運輸ネットワークを有するアメリカは、他国のどこよりも大量の人や物資を、最も多くの場所へと運ぶことができる国です。

そんなアメリカと南北に隣り合ったカナダ国内の道路の総延長距離は、わずか65万マイル。
カナダの人口がアメリカの10分の1に過ぎない点、土地の大部分が無人あるいは常に氷に覆われている点については、一応は考慮に入れる必要があるでしょう。そうは言っても、カナダの自動車依存度は隣国アメリカに比べて高くありません。公共交通機関の利用率でいえば、平均的なカナダ人ならアメリカの2倍以上になるとか。これがカナダの都市集中度に拍車をかけ、都心の人口密度を上げているというわけです。
また、歩行者や自転車利用者に配慮したエリア利用を明確に打ち出している点で、カナダの都市はアメリカよりもヨーロッパ式の都市開発に近いのです。

そして、移民。この問題についてはアメリカもカナダも、ともに長い歴史を持つ一大多民族国家です。移住という連鎖を通じて北アメリカ大陸に到着した移民たちは、それぞれ異なる民族居住地に定住しました。
移民として生活する人々やその居住地を民族的な分離主義から解放し、正常で近代的な西欧都市の一部に取り込んでいけたのは、文化に対する受け皿の広さ、認識の深さという社会背景によるところが大きいでしょう。
都市におけるマイノリティ人口の増加率は酷似しているアメリカとカナダでも、移民の順応度や人口構成内容となると、また別の話。根本的な違いについては、アメリカの「メルティング・ポット(人種のるつぼ)」とカナダの「文化のモザイク」という対照的な表現が端的に言い表していますね。アメリカの移民の多くが比較的スピーディに現地に溶け込むのに対し、カナダの民族的少数者は、文化的にも地理的にも分離独立状態が長く続く傾向がみられます。

さらに言えば、この両国の間には人口構成そのものの差異もあります。アメリカではヒスパニック系とアフリカン・アメリカン系が二大マイノリティグループで、英語に次ぐ第二言語はアメリカ全体に亘って文語・口語ともにスペイン語です。これがアメリカとラテンアメリカ諸国との距離的な近さによるものであることは、言うまでもありません。
一方、カナダで最大の少数派民族と言えば南アジア人と中国人の移民グループ。過去に大英帝国の植民地であったという歴史が、その2つの層の厚さに直結しています。富裕層が多く、カナダ各地で大量の不動産を購入してきた人たちです。その結果、都心に偏りがちなアメリカの移民街と異なり、カナダの移民居住地は郊外エリアへと広がっていったのですね。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 年齢酉年(とり)
  • 性別
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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