• 2020.04.08
  • ジャーキーの進化?
干し肉のことをこちらではジャーキーと呼んでいますが、カナダではこれがメープルシロップ、プーティンフライ(フライドポテトにグレイビーソースとチーズをかけたもの)とともに欠かせない食品となっています。ですが、最近はビーガニズムへの関心の高まりで、この大人気の干し肉の消費も減っていて、ビーガン対応のジャーキーを求める人が増えてきています。
ジャーキーの語源はスペイン語のcharqui(乾燥させた食材)で、現在では北米式の干し肉を意味する言葉となっています。昔ながらの製法では、肉の脂肪を取り除き、その肉を薄くスライスして天日か低温で乾燥させます。でも、現在の最も一般的な手順では肉を乾燥させる前に、ハーブあるいはいろんなスパイス、香辛料のソースなどに漬け込み、よりしっかりとした味わいに仕上げています。
干し肉はスモークされたものや、スモークの後味が広がるものが多く、軽食やドリンクに添える前菜として食べたり、ときには郷土料理に使用したりします。
また、すぐ食べられるようになっているので普通は「そのまま」食べますが、ここカナダではサラダ、アジア麺、チャーハン、ディップの付け合わせ、サンドイッチ、そして野菜のパイの上にふりかけるという食べ方まで見たことがあります。
私はトマトソースで食べるジャーキーが一番好きかもしれません。歯ごたえと一味違った味わいが楽しめるので、ごはんはもちろん、パスタにだってかけます! 私の友達は細かく砕いて、ベークドポテトやサラダ、あらゆるものの味付けにも使っています。
干し肉はもともと、牛、豚、ヤギ、ヘラジカ、サーモンを原料にしていましたが、先ほどもお話ししたとおり、ベジタリアンやビーガン食、食肉産業による環境影響へのカナダ人の関心が高まっていることを受けて、地元企業が野菜を使用した新製品を売り出したり、消費者がこうした製品を大量に買うようになったりしてきています。
カナダでは食べ物の好みが大きく変化しています。地元誌に掲載された国の食品ガイドライン最新版によると、動物性のタンパク質よりも植物性のタンパク質を好む人が増えているそうです。心機能障害や糖尿病をはじめとする病気が全国的に増えていることが、野菜や果物、全粒粉、野菜を主原料とする食品を定期的に摂取して肉と乳製品の消費を減らすという、より健康的な食事への関心を高める決め手のひとつとなっているのです。このシナリオに基づけば、100%ビーガン対応の製品の売買が昨年、大きく増えたことも不思議ではありません。
ビーガン製品の新たなラインナップの一環として登場した、大豆でできた新しいビーガンジャーキーは、すべて天然素材、遺伝子組み換え(GMO)なし、飽和脂肪なしでありながら、動物性ジャーキーが持つ人気の風味と歯ごたえを見事に再現しています。こうした新製品はカナダ、アメリカ、そして国際的にも販売されています。
カナダのビーガンジャーキーはすぐ大評判となり、1年もかからずに干し肉ブランド商品のオンラインでの売上を上回るまでになりました。オンラインで一番よく売れているのは照り焼き味のジャーキーですが、二番目はニンニクとショウガでマリネした植物性タンパク質をベースとするものです。それに続くのがバーベキューソースに漬け込んだスイートバーベキュー味、スパイシーなチポトレ(燻製唐辛子を原材料とする香辛料)味、そしてニンニクとコショウで味付けした元祖の味です。この4つの製品は遺伝子組み換えなしの大豆でできていて、含まれているのはトマトや豆鼓醤(トウチジャン)、濃縮サトウキビ汁、香辛料、海塩、油、米酢などの天然素材です。
つまり、今、確信をもって言えるのは、このようなビーガン対応のスナックが売れているのは、カナダ人の食品に対する意識の高まりに対応したさらなる取り組みと、カナダが野菜による代替食品の市場をこれまで以上に広げることを推進していることの表れだということです。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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