• 2020.05.01
  • スコットランドで足止め


私はカナダ在住ですが、新型コロナウイルスが手に負えない状況になったときは、観光や仕事で訪れていた世界中の他の何千人もの人たち同様、イギリスで身動きが取れなくなってしまいました。
ここイギリスでは他のヨーロッパ諸国の必然的な事例にならい、ほぼ一晩のうちに強制待機命令が出されてしまったので、今はこの地を離れることができません。
詳しく説明すると私がいるのはスコットランドで、カナダに引っ越す前はここに住んでいました。そして、ありがたいことに広い家に住む友達が泊めてくれることになり、さらに幸運なことに少なくとも当面はノートパソコンでリモートワークができることになりました。
それでも現時点ではイギリスで暮らすことにちょっと不安を感じています。もちろん一番不安なのはウイルスですが、今では世界中のほとんど全ての国に広がってしまっています。私が不安に思うのは緊急事態に直面しているイギリス人の無頓着さです。
私はイタリアにルーツを持ち、イタリア(感染者数と死亡者数が非常に高い)に帰国した友達や家族と連絡を取り合っているので、新型コロナウイルスの感染事例の多い国では感染拡大の初期から自宅待機が重要なことを知っていましたし、実際に実行していました。
幸いここでは、食料雑貨を簡単に玄関まで配達してもらえますし、必要に応じて医薬品やその他の必需品も調達できます。
私は友達とお互いのために自宅待機することを決めました。2人とも在宅勤務なので、お互いのやり方に干渉しすぎないようにしています。

イギリスは感染者数が増えているにもかかわらず、ヨーロッパで最も遅れて厳格な緊急事態対策を導入した国のひとつで、新型コロナウイルスに感染した初の首相となったボリス・ジョンソン氏は現在、集中治療室に入っています(注:執筆当時。2020年4月21日現在、一般病棟にて治療中)。
ここではあらゆることが静かに変化していますが、街には無関心な人も多く、現在の医療的緊急事態の深刻さを誰もが理解しているわけではありませんし、この緊急事態で得する国などあるはずもないのに、これは一種の陰謀だと思い込んでいる人さえいます。
まだオフィスに出勤し続けている人たちが話してくれたところでは、全ての人が高度な衛生の維持を徹底しているというよりはむしろ、従業員がルールに効果的に従い世界保健機関(WHO)の推奨するソーシャルディスタンスを守っているかを確認もせずに、殺菌ジェルと手洗い方法のマニュアルだけを提供している状態のようです。
私の友達は1週間、体調を崩し、私たちはぞっとしました。友達は熱を測り、木曜日の夜に国民保健サービスに電話することにしました。
友達は症状についてたくさん質問され、後ほどコールセンターから連絡があるだろうと告げられました。数時間後に電話がかかってきて病院へ行かないようアドバイスを受け、症状は新型コロナウイルスにほぼ該当しないと言って安心させてくれました。
私は病院がうまく機能していないという話も耳にしています。特に夜間は、多くの避難所が閉鎖されているのでホームレスの人たちがやって来てトイレに入ったり、待合室で眠ったりしているそうですし、精神障害を抱える人の中には一人で放置されたまま、診察しにきてくれるのを待ち続けているような人もいるそうです。

現時点で推奨されているのは、自宅にいることと、緊急時や食料が必要な場合を除き外出をしないことです。
イギリスのガイドラインは、同居人として一緒に暮らしている場合を除き、家族以外と2m以内に近づくことを禁止すると明記しています。これは同じ家に住んでいないカップルも例外ではありません。
イギリスの医療の専門家は、離れて暮らすカップルはその状態を継続すべきだと指摘しています。
ただし僅かですが例外もあり、両親が離婚・別居している家庭の18歳未満の未成年者が両親に会いに行くことはできます。
住民は、ほとんどの場合において常識で考えることを求められています。
数学者の計算する数字が私たちに真実を伝えているのか、そして自宅待機が感染事例の減少に役立ち解決策をもたらしているのか、私たちはその成り行きを見守っています。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 年齢酉年(とり)
  • 性別
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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