• 2021.01.14
  • 恋しく思うもの
なんともおかしな日々が続いていますね。
新型コロナウイルスの感染拡大による隔離措置のために、私たちは犠牲を払わざるを得ない状況におかれています。より良い日が来ることを願い、それまで「我慢する」のが鍵ではないでしょうか。
この期間と一連のロックダウンや隔離措置によって、今まで当たり前だと思っていたことが実際はそうではなかった、ということに改めて気づかされました。確かに、家にいると自由が恋しくなるものです。でも、一番恋しくなるものとは、いったい何でしょう?
私はコロナ以前の生活がほとんど思い出せなくなる時があります。特に仕事に関することはなおさらです。
リモートワークをするようにと言われているのですが(プロジェクトによっては時々出社する必要はありますが)、これに関しては通勤にかかる時間が減り、結果として自宅を出て仕事をする日に使うお金が少なくなったという良い面もありました。でも、コロナ以前の働き方の中には突然奪い取られてしまい、初めて寂しいと気づかされたこともあります。例えば、少なくとも以下の5つが思い浮かびます。

1. ひざを突き合わせたミーティング
ビデオ通話が素晴らしいことに疑いの余地はありません。「素晴らしい」というより、「すばやい」と言うべきかもしれませんね。オンラインでのミーティングは、対面の時と全く同じというわけにはいかず、集中し続けたり、注意を払い続けたりするのがより難しいし、会議中に家の中で起こっていることはもちろん、周りの雑音がコミュニケーションの妨げになることもあります。それに、ネット接続がいつもいい状態にあるとも限りません。

2. 同僚とのおしゃべり
以前は1日のうち少なくとも8時間を同僚と席を並べて過ごしていました。打ち解けておしゃべりするうちに「机が隣同士の同僚」以上の関係になるのは自然のことで、家族やガールフレンド、お奨めの投資やお金の使い方についてのアドバイス、噂話やそれ以上の話をするようになります。友達といる時にはおそらくしないような内容でも安心して自分を出して話せるのも、同僚であるというアドバンテージがあるからでしょう。同僚たちに会えなくて心から寂しく思いますし、彼らと過ごした時間が懐かしくなります。ひとりでする仕事は全く違うもので、より効率的なのかもしれませんが、時々とても寂しい気持ちになります。

3. 自動販売機のコーヒー
カフェで飲むコーヒーとは比べ物にならないし、ましてや祖国イタリアのカフェのコーヒーとはこれっぽっちも似ていないのに、自動販売機のコーヒーにもそれなりの利点があって、不覚にも無性に恋しくなっています。デスクの椅子から立ち上がり、同僚を誘って3分間のコーヒーブレイクを取って息抜きをし、毎日の仕事のリズムに変化を加えたものです。あぁ、自販機でとるコーヒーブレイクとさっき書いたようなおしゃべりがとても恋しいです。

4. ドレスコード
パジャマで仕事をするのも悪くないし、ビデオ通話では上半身にはシャツを着て下半身はパジャマのズボンを穿いていることも時々あるのですが、スーツやオフィスカジュアルの服が懐かしくなります。そういった服は今ではクローゼットの中で埃をかぶり、きっとサイズが小さくなっていることでしょう。あまり動かないし、一日中ソファーや椅子に座っていて太ってしまったので仕方がないですね。在宅1週目は、パジャマのままでいるのも悪くないように思います。でも実際のところ、オフィスで着る服にはそれなりの魅力があって、今ではとても恋しく思えるのです。仕事で着る服は、その人が誰でどんな人なのかを表すものですからね。というわけで、私は現在パジャマ姿のカウチポテト族(ソファーでポテトチップスを食べながらぐうたらしている人)のように見えますが、これは本当の姿ではないんですよ。

5. 肩を並べての共同作業
確かに世の中にはものすごい数のオンラインのコラボレーションツールが存在していますが、椅子から立ち上がって同僚の席に行き、一緒に働くことは、仕事そのものにも勝るものなのです。他者との共同作業は人類学的なもので、そのルーツは遥か昔にさかのぼり、「社会的動物」である人間の一要素なのです。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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