世界中で新型コロナウイルスのワクチン接種キャンペーンが行われていますね。ここカナダでは多くのヨーロッパ諸国よりも早く、1カ月以上前の12月中旬から接種が始まっています(私の母国・イタリアでは1月中旬から開始されました)。とはいえ、隣国のアメリカよりは遅いスタートとなりました。
ジャスティン・トルドー首相が銘打った、まさに「カナダ史上最も大規模な予防接種キャンペーン」が開始されたのは12月14日のことでした。
臨床データが示す「ワクチンの有効性95%」が真実でありますように、そして新たな変異種に対しても効果がありますように、と祈りつつ、部分的であれ日常がすぐに戻ることと、生活や仕事が普段通りに戻ることを誰もが願っています。
私たちが陥ってしまったこの悪夢(または邪悪な呪い)から世界を救ってくれるに違いない、という思いから、私はワクチンではなく「解毒剤」と呼ぶことにしています。
トルドー首相はワクチン接種の遅れについて野党から厳しい批判を受けましたが、それに対して、重要なのは開始時期ではなくてゴールラインであるとし、2021年9月までにカナダ国民の大多数がウイルスに対する免疫を獲得することを約束しました。そして批判を受けてから即座に予防接種キャンペーンのペースを速めました。
ワクチンはカナダの13州に人口に応じて配布されることになっています。
その後、当然ながら優先順位を決め、確実に接種を進めていく責任は州当局に委ねられます。
感染の影響が最も大きかったケベック州とオンタリオ州の2つの州が最初にワクチンを受け取り、パンデミック以来ウイルスによって最も多くの死者が発生した介護老人施設で暮らすお年寄りから接種が開始されました。ワクチンの生産と輸送が進み次第、医療従事者や感染する危険性が最も高いと見なされた人たちがこれに続いて接種を受けることになっています。
しかし、ファイザー製ワクチンの安定性を維持するためには条件を満たす必要があり、世界で2番目に広い国土をもつカナダ全土へワクチンを配給するには困難を伴います。というのも、このワクチンは輸送の際にマイナス70度以下で保管する必要があり、国内の遠隔地への輸送は容易ではないのです。
先に書いたように、カナダ人は順次新型コロナウイルスのワクチンを接種することができることになりました。カナダ政府は保健局が最初に承認したファイザー製ワクチンを採択し、12月にはトロント州とモントリオール州に、そして1月初めにはその他の州とオタワにワクチンが届けられました。
お年寄りと介護施設の職員はもちろん、病院に勤務する医療従事者、障がい者、感染した場合に重症化する可能性のある複数の疾患をもつ人たちへの接種が最も優先されています。
カナダ公衆衛生庁(PHAC)は、3月末までに600万回分のワクチンが入手できる見通しである、とテレビで公表しました。また、春にはさらに数千万回分のワクチンの到着が見込まれています。公衆衛生庁の物流・運営担当副長官ダニー・フォーティン少将によると、9月末までに希望者全員にワクチンの接種を行うという目標達成に向かって順調に進行している、とのことです。
ここで「ワクチン接種希望者」と言ったのは、今のところ接種は義務ではありませんし、法律上の理由で義務化することもできないからです。ですが、何よりまず飛行機での旅行など色々なことができるようになるためには、義務化は必要だと思います。
飛行機での旅行と言えば、カナダのジャスティン・トルドー首相は先日の日曜日、1月30日に入国・出国制限を大幅に強めることを発表しました。これにはカリブ諸国とメキシコへの航空便を4月30日まで停止する法案も含まれています。この地域からカナダ領へ入国する人(つまり帰国するカナダ国民または居住者に限られます)は新型コロナウイルスの検査を受け、検査結果が出るまでの隔離期間中は身銭を切ってホテルで過ごさなければなりません。
- 2021.02.17
- 解毒剤が効きますように!