• 2021.12.23
  • プラスチック製品の使用禁止
世界各地で、異常気象による被害が増え続けています。
自然災害による被害の抑制は、カナダにとっては時間との戦いです。
この夏の異常な猛暑と秋に起きた突発的洪水によって、カナダ国内には多くの死者が発生し、大きな被害がもたらされました。今年の夏には暑さが原因で600人以上が亡くなり、深刻な干ばつの影響で何百件もの火災が発生しました。

先ごろカナダでは、国家気候非常事態宣言が発令されました。カナダ環境・気候変動大臣がカナダ下院議会に提出した議案では、気候変動を抑えて環境を守るために、できることをすべて行う必要があることをカナダ政府に訴えています。
統計によると、カナダでは世界平均の2倍の速さで温暖化が進んでおり、設定した目標を達成するためには全力を尽くすべきだ、というわけで、この議案は可決され、カナダは行動を開始したのです。
2017年、世界環境デー(World Environment Day)の式典がカナダで開催されました。この世界環境デーは、人々の間に「環境保護のためにはあらゆる日常的な行動が重要である」という認識を広げるために設けられました。
気候変動への対策例を挙げると、カナダはパリ条約の批准などにより2030年までに温室効果ガスの排出を30%削減することを約束しています。

気候変動は人的活動によって引き起こされるもので、環境や生物多様性、人々の健康、カナダの経済にまで影響を及ぼす緊急性の高い真の危機である、とカナダ政府は説明しています。また、近年、人々の意識を高めようと、公共放送やニュースでたくさんのドキュメンタリー番組が放映されています。
さて、ジャスティン・トルドー首相とカナダの2大政党(保守党・新民主党)の各党首は議案に署名しました。
トルドー首相は任期満了を迎えるにあたり環境保護主義者やエコロジー政策への支援を強めており、世論の圧力を受けて環境保護のための取り組みが強化されている、として、このカリスマ的首相の姿勢が海外で議論を呼んでいます。
にもかかわらず、首相は議案に化石燃料の使用に関する問題を含める気はなさそうなのです。というのも、トルドー首相はつい先日、アルバータからブリティッシュ・コロンビアまで原油を輸送するための、数十億カナダドル規模のガスパイプライン建設を最終的に承認しているのです。
このパイプラインは、森と山の中を500マイル以上にわたり横断する予定で、各環境協会やカナダ緑の党は建設に猛烈に反対してきました。

また、カナダ環境保護法において、プラスチックは有害とされています。
カナダの閣僚たちは、コップ、レジ袋、ストロー、フォークやスプーンなどの、使い捨てのプラスチック製品を禁止する法案を進めていますが、プラスチック業界から強い反発を受けています。


政府は「プラスチック製品は環境を破壊し続けており、政府はいかなる外部からの圧力にも屈することはない」と公的に宣言しています。この行動は環境保全への礎となり、また政府がプラスチック汚染に取り組む可能性を切り開く鍵となるでしょう。
プラスチックが直接的に環境や野生動物、海洋生物に被害を与えることを示す証拠は、以前から数多く存在していました。生態系や人間の健康、生物多様性を脅かすプラスチックはどんなものであれ有害であるといえます。


カナダでリサイクルされているプラスチックは年間でたったの10%だ、とテレビで見たことがあります。
残りの90%は埋め立てられたり、焼却場で処理されたり、あるいは汚染された湖や川に投棄されたりして、ひどい環境汚染を引き起こしています。
閣僚たちは、2022年までに使い捨てプラスチック製品を全面的に禁止することを提案しています。さらに、屋外でよく見かけるペットボトルや容器、プラスチック製のタバコのフィルター、パッケージなどの使用の全面禁止を求める声もあがっています。
近年、私たちの生活はプラスチックで覆いつくされているように見えます。文字通り、食品や空気、飲み水といったあらゆる日常生活の中にプラスチックが紛れ込んでいるのです。
「プラスチックは有害である」と宣言した連邦政府の決断は本当に必要なものでしたし、政府はプラスチック産業への投資を完全に止めるべきだと思います。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

パトリック・ サッコの記事一覧を見る

最新記事

リポーター

最新記事

PAGE TOP